「自分は、手術台の上に横たわっていて、手術の途中で執刀医がいなくなってしまった……まさにそんな気分よ!」
そう訴えるの歯の矯正中の中国市民。
最近、中国有名な歯科チェーン「フォスマン(福斯曼)」が「経営破綻」した。
「家賃滞納」や「従業員の給与未払い」、「患者の治療中断」など多くの問題を残したまま、深セン、広州、上海、北京、成都、杭州、武漢、南京などフォスマンの全国の店舗は突然閉鎖した。
突然の閉鎖により、全国で数千人の患者が混乱状態に陥った。
「医師と連絡が取れない」
「再診ができない」
「治療の途中だったのに…」
「5年間の無料矯正や3年半の定期検診を受けられるはずだったのに、パーになった」
など、旧正月明けから、中国のSNSでは被害者(通っていた患者)の悲鳴が響き渡っている。
なかには「約100万円を前払いした矯正治療が、中盤から後期に差し掛かったところで、閉鎖により治療が続けられなくなった」という被害者もいる。
前払いしたお金は返ってくるのか?
この問題について、中国メディアは弁護士(北京盈科律師事務所 律師張璐璐氏)の話として、「民事訴訟を起こすことはできるが、今の状態からして賠償をもらえる可能性は低い」と伝えている。
「フォスマン」は2020年に設立した「見えない矯正」を専門とする歯科チェーン。
閉鎖の波
近年、中国では民営歯科医院の閉鎖の波が吹き荒れている。従業員は給与をもらえず、前払いしていた患者の治療継続も断たれるなど、多くの被害者を生み出してきた。
2023年にも広州のある歯科チェーンが、資金繰りに行き詰まり全店舗を閉鎖、数千人もの患者が治療を中断せざるを得なくなった。
この「倒産の波」を引き起こしているのが「政策面での打撃」と中国メディアも指摘している。
2023年末、中国の国家医療保障局は全国規模の歯科インプラント集中調達政策を実施した。その結果、インプラントの価格は平均で55%以上下落し、これを主要な収益源としてきた民営歯科クリニックの経営に深刻なダメージを与えたのだ。

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