中国共産党の地方政府が深刻な財政難に陥る中、民間企業への締め付けが強まっている。
罰金や過剰な検査を通じた搾取が横行し、多くの企業が経営の危機に瀕している。
北京を含む地方政府は、企業への罰金を財源の重要な手段としており、何かと理由をつけては何度も何度も罰金を科される企業は悲鳴をあげている。
「むやみな検査をしない」リスト
3月12日、北京市当局は「むやみな検査をしない(無事不擾)」の企業リストの調整を発表した。これに先立ち、当局は「ビジネス環境の改善」を掲げ、同リストに載せる企業数を年内に総企業数の10%以上に増やすと公表していた。
しかし、同リストの在り方に対し、ネット上では非難が殺到している。
「そもそも『むやみな検査をしない』ってなに? そんなの当然のことではないか? わざわざそんなリストを作る必要性はどこにあるのか?」
「リストに入らなかった90%の企業は、つまり、いつでも好きなだけ検査していいということか?」
「そのリスト入れなかった残り90%の企業は、度重なる検査や罰金生活から逃れたかったら政府部門と良好な関係を築くしかないということか?」
「そのリストに入るには何が必要? コネか、それとも賄賂か?」
このように、多くの人々が同リストの在り方に不満を持っており、当局に対する不信感を募らせている。

地方政府の権力乱用
中国では、法律が存在していても実際には機能せず、地方政府の幹部が権力を乱用し、企業や個人から不当に利益を得るケースが後を絶たない。
政府部門が「検査」を名目に企業や露店経営者に無料でサービスを強要したり、賄賂を求める事例も多数報告されている。
特に財政難に直面する地方政府の公安部門は、企業への締め付けを強めており、「遠洋捕獲(釣魚執法)」と呼ばれる違法な取り締まりが社会問題化している。これは、政府が意図的に企業や個人に対し濡れ衣を着せ、高額な罰金を課すことで財源を確保しようとする手法だ。
このような乱れた現象が存在していることは中国政府の最高行政機関である国務院も認めている。2月25日、国務院は、「頻繁な検査や重複した検査といった混乱した状況が、一部の地方や部門で依然として横行しており、企業経営の大きな負担となっている」との見解を示している。
例えば、安徽省蕪湖市のある埠頭では、「年間200回以上の検査が行われた」ことが中国メディアの報道(2024年6月)で明らかになっている。同埠頭の責任者は、「あまりに頻繁な検査のせいで業務が滞り、企業の正常な運営に深刻な影響を及ぼしている」と強い不満を表明していた。
経済低迷の中 企業は生き残れるのか?
中国経済は現在、不動産不況、若年層の高失業率、外資の撤退など、多くの課題を抱えている。そんな中、地方政府が財源確保のために企業への圧力を強めることで、さらなる経済の悪化を懸念する。
特に北京を含む地方政府では、罰金収入が財政の重要な柱となりつつあり、企業に対する取り締まりを強化している。企業にとっては、ビジネス環境の悪化が死活問題となり、事業継続がますます困難になっている。
経済回復のためには、政府の過剰な干渉を排除し、企業が自由に経営できる環境を整えることが不可欠だ。しかし、現在の共産党政権下では、その実現はほど遠い。国民や企業が安心して事業を営める環境が整わない限り、中国経済の先行きはますます不透明になっていくだろう。
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