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米公聴会で指摘された日本の潜水艦建造計画の優れた点 「米国は学ぶべき」=米議会調査局

2025/03/13
更新: 2025/03/13

米連邦議会の海上戦力・戦力展開小委員会は3月11日、公聴会を開き、日本の潜水艦建造計画がアメリカにとって学ぶべき手本となるとの意見が専門家から示された。

議会調査局(CRS)で40年にわたり海軍分析を担当してきたロナルド・オルーク氏は、日本の造船手法が、22隻体制を効率的に維持するための安定した建造・運用の仕組みを可能にしていると説明した。

この公聴会は、トランプ大統領が3月4日の上下両院共同演説で、アメリカの造船業を拡大するためホワイトハウスに特別税制優遇措置を決定する部署を設置すると表明したことを受けて開かれた。

日本の造船業が示す「最良の手法」

オルーク氏は、日本と韓国が世界標準で「最良の造船手法」を確立していると指摘した。

特に日本は、人材育成と原材料管理に優れ、戦力規模が変動しても安定した調達を維持できているという。

同氏によると、その鍵の一つは、後方管理、つまり艦隊の運用終了時期を見据えた管理にある。これは、新造艦の調達を目先の調整で済ませるのとは対照的な手法だという。

オルーク氏は公聴会で提出した「アメリカ造船業の現状」と題する報告書では、日本の造船業の手法を説明している。

「日本は、毎年1隻の潜水艦を建造するという安定した生産ペースを維持することを目指している。例えば、18隻体制を維持していた際には、1年に1隻の建造ペースを保ち、運用期間を約18年と設定していた」

「潜水艦の目標を22隻に引き上げた際も、建造ペースを変えずに運用期間を約22年に延長することで対応した。仮に将来的に30隻体制へ拡大する場合も、同様に1年に1隻の建造を続け、運用期間を30年に延ばすことで対応できるだろう」。NTI(核脅威イニシアティブ)は、日本が1998年以来、毎年潜水艦を製造できるようになった経緯を記録している。

中国の造船業に対抗する日韓

オルーク氏は、日本と韓国が中国と競争関係にあると述べた。同氏によると、中国は世界の船舶の40〜50%を生産しているという。

統計サイトStatista(スタティスタ)によると、2021年の中国の造船市場シェアは48.4%に達している。

このため、韓国と日本は市場シェアを維持することに「極めて注力している」と同氏は語った。

米国の造船業の課題と海外委託の可能性

公聴会で質問された米議会予算局(CBO)の海軍戦力・兵器担当エリック・ラブス上級分析官はオルーク氏と同じく、日本や韓国の造船業を評価した。

ラブス氏は、アメリカが造船業の一部を同盟国に委託することも検討すべきだと提案した。

「現在、国内の造船所はすでにフル稼働していることを考えると、こうした艦艇の一部を同盟国から調達することを検討する価値はある」と提案した。

「国内外を問わず、同盟国やパートナーを造船プログラムに組み込むことは、さまざまな利点と欠点がある」

「米国は独自の造船能力を維持できているのか」

さらに、公聴会ではジャック・バーグマン下院議員が、ラブス氏やオルーク氏を含む専門家に対し、「米海軍は、船の建造・修理・設計を行う能力を持っているのか」について、「はい」か「いいえ」で答えるよう求めたところ、彼らは沈黙した。

また、バーグマン議員は「米国の海運業は1920年の『ジョーンズ法』がなければ存在しない」との指摘について意見を求めた。

ジョーンズ法は、「米国内の港間で海上輸送される貨物は、米国で建造・登録・運航される船舶に限る」と定めている。

ラブス氏はこれに対し、「現在、米国内の造船所で建造されている商船はごくわずかだ」と述べた。

また、一部の商船建造は行われているものの、そのほとんどはジョーンズ法に基づく船舶であり、米国内の港間輸送を目的としたものだと思う」と続けた。

2023年に発表された「世界的な視点から見た米国商船建造」と題する議会報告書によると、アメリカの商船建造は世界全体のわずか0.2%にとどまっている。

米中関係・外交政策・国際情勢を報道する速報記者