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韓国憲法裁 検察幹部らの弾劾訴追を棄却

2025/03/14
更新: 2025/03/14

韓国の憲法裁判所は、違憲として、崔載海(チェ・ジェヘ)監査院長と検察幹部3人に対する弾劾追訴を棄却した。この決定により、崔院長は即時に職務へ復帰することとなった。

憲法裁判所は13日午前10時から弾劾審理を開き、崔載海監査院長、李昌洙ソウル中央地検長、ソウル中央地検の趙相元(チョ・サンウォン)第4次長と崔宰熏(チェ・ジェフン)反腐敗捜査第2部長の4人についての弾劾動議を8対0の全会一致で弾劾を棄却する決定を下した。

国会の弾劾理由

国会は昨年12月5日、崔氏に対し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が予想外の当選を果たした後、2022年に行われた大統領府移転に関する不正疑惑の調査が不十分だったとして、弾劾された。

ソウル中央地検の検察官らは、輸入車販売会社「ドイツモーターズ」の株価操作計画への関与が疑われた大統領夫人・金健熙(キム・ゴンヒ)氏を不起訴としたことを理由に、弾劾された。

検察側は、有罪判決を受けたドイツモーターズの元会長・権五洙(クォン・オス)氏が、投資詐欺計画を主導していたことを、金氏が認識していた証拠はないと判断し、大統領夫人を訴追しない決定を下した。

憲法裁判所は、検察が金夫人を検察庁以外の場所で聴取したことは、職権乱用には当たらず、虚偽の主張もなかったと判断し、弾劾を棄却した。

憲法裁判所の判断

崔載海監査院長の弾劾についても、憲法裁判所は、「監査院は、大統領府および官邸移転の決定プロセスにおいて、関連法令に定められた手続きを遵守しており、不適切な監査だったとみなすべき証拠は、見当たらない」と判断し、弾劾を退けた。

また、前文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に、設立された高官汚職捜査処(CIO)に崔載海(チェ・ジェヘ)監査院長を送致した、前反腐敗・国民権益委員長の全賢姫(チョン・ヒョンヒ)氏に対する監査において、崔院長に不正行為がなかったと判断した。

このほか、西海(ソヘ)公務員射殺事件、ソウル梨泰院(イテウォン)転倒事故、月城(ウォルソン)原発1号機の早期閉鎖に関連する監査の違法性を指摘する主張についても、憲法裁判所は認めなかった。

弾劾を巡る対立が戒厳令発令のきっかけに

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、野党による政府高官の弾劾推進が、2023年12月3日の戒厳令宣言の契機となったと述べた。尹氏は、これを野党への警告と位置づけ、「選挙で選ばれた政府を機能不全に陥らせる『反国家的行為』を阻止するための措置だった」と説明している。

12月5日、与野党の合意がないまま、共に民主党は崔監査院長と3人の検察官の弾劾を決議した。尹氏の与党「国民の力(PPP)」は弾劾採決をボイコットし、「野党主導の弾劾は、政治的動機によるものだ」と批判した。

李在明代表の有罪判決と早期大統領選の可能性

ソウル中央地検は、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が2022年の大統領選挙で虚偽の発言をしたとして選挙法違反で起訴し、2024年11月15日に1年の執行猶予付き禁錮刑を言い渡した。

李氏は控訴中であり、ソウル高裁は3月26日に判決を下す予定だ。もし国会が12月14日に弾劾した尹大統領の弾劾が成立した場合、大統領選挙が前倒しで実施されることになり、李氏の立候補にも影響を与える可能性がある。

尹氏は、弾劾採決前の12月12日の演説で、「最大野党の党首に有罪判決が下る直前、野党は大統領を弾劾し、早期大統領選挙を実施しようとしている」と主張した。

選挙管理委員会の監査と外国勢力介入への懸念

監査院は、選挙の公正性を確保する独立機関である中央選挙管理委員会の監査を実施している。

しかし、中央選管委は国家情報院(NIS)からの監査要請に協力を拒否し、与党は「選挙の公正性や北朝鮮・中国共産党による外国勢力の干渉を懸念している」と指摘していた。

監査院はまた、中央選管委における縁故採用や財務管理の不正も発覚したと報告している。

尹氏は12月12日、「戒厳令を発令することで、国防部長官に命じ、監査院の監査が妨害されていた中央選管委のコンピューターシステムを調査するよう指示した」と述べた。

憲法裁判所の政治的独立を巡る対立

韓国憲法裁判所は、政治的な偏向があるとして批判を受けている。

尹氏の職務停止中、大統領代行を務めた2人は、野党主導の国会が推薦した憲法裁判所判事の任命を拒否しようとした。

この決定に対し、韓国人権委員会委員長であり元憲法裁判所判事の安昌浩(アン・チャンホ)氏は、「憲法裁判所の公平性が損なわれる懸念がある」と指摘した。

尹大統領弾劾審理の行方

尹大統領は、12月14日に国会で弾劾され、戒厳令発令をめぐり「反乱の指導」と「権力乱用」の罪に問われている。尹氏はこれらの罪を否定し、演説で「戒厳令の発令は、政治的決定であり、国会の要請があれば解除できる。私は即座に国会の要請を受け入れた」と述べた。

また、「国家を守るための緊急措置を『反乱』と見なすことは、憲法と法制度を重大な危機にさらす」と警告した。

元青瓦台特別監察官の朴周賢(パク・ジュヒョン)氏は、2月にXにこのように投稿した。
「現在、韓国では、前政権の左派・文在寅(ムン・ジェイン)政権下で任命された憲法裁判所の極左判事や、不正選挙によって形成された国会が任命した左派判事が、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾を強行しようとしている。彼らはあらゆる手段を使って、尹大統領を弾劾し、親中政権を樹立しようとしている」

憲法裁判所は、遅くとも6月11日までに、尹氏の弾劾の可否を判断する見込みだが、事件の緊急性を考慮し、今月中にも結論が出る可能性がある。現在、韓国各地で尹氏の支持・反対を掲げたデモが続いていると言う。

世界のニュースを取材・編集する記者。環境調査の経験あり。