警察庁のまとめによると、2024年にオンラインゲームをきっかけに犯罪被害に遭った18歳未満の子どもの数が、98人に上り、前年から増加したことが明らかになった。この数字は、SNSを介した被害全体の1486人のうち約6.6%を占めており、オンラインゲームが犯罪の入り口となるケースが増えた。
犯罪被害の背景と傾向
オンラインゲームでは、協力プレイを通じて仲間意識が生まれやすく、その過程で加害者が子どもたちとの信頼関係を構築し、個人情報を引き出すことが多いとされる。警察庁によれば、特に「荒野行動」や「We Play」、「フォートナイト」などの人気ゲームで、被害が報告されており、匿名性の高いチャット機能が悪用されるケースが目立つ。小学生も22人含まれており、被害者の低年齢化も進んでいる。
また、SNS全体で見ても、2024年には「インスタグラム」を通じた被害が最も多く、次いで「X(旧ツイッター)」や「TikTok」が続いた。これらのプラットフォームでは、ダイレクトメッセージ機能を通じて接触し、犯罪につながるケースが確認されている。
子どもたちへの影響と対策
オンラインゲームやSNSを通じた犯罪被害には、性犯罪や誘拐など重大な事案が含まれる。特に、小学生から高校生まで幅広い年齢層が被害者となっており、警察庁は、保護者に対し、子どものインターネット利用状況への関心を持つよう呼びかけている。具体的には、有害情報を遮断するフィルタリング機能の活用や、子どもとの日常的なコミュニケーションを通じて、リスク意識の向上が重要だと言う。
さらに、一部では、オンラインゲームを通じた国際的な犯罪事例も発生しており、高校生が海外で詐欺行為に巻き込まれる事件も報告された。このような事態を防ぐためにも、家庭内でオンライン活動について、話し合い、安全な利用方法を共有することが求められていると言う。
保護者に知って欲しいこと
警察庁は「オンラインゲーム上のリスクとして保護者等に知っていただきたい事項」を次の通り注意喚起している。
(1) 小学生など年少の利用者も被害に遭っている
オンラインゲーム起因の被害児童数は小学生が年々増加している。
(2) ほとんどのオンラインゲームに「ボイスチャット」や「メッセージ交換」の機能が備わっており、匿名・不特定の者とも簡単にやりとりができる
ゲーム中の会話において、ひわいな話題に興味を示した子供を、犯罪の標的とする者がいる。
(3) 協力してゲームを行うことを通じて、見知らぬ者にも「仲間意識」を持ちやすい
戦闘ゲームにおいて、同じチームでプレイをし、「仲間意識」を強めて子供の信頼を得た上で、犯罪行為を行う者がいる。
(4) ゲーム内における高価な「アイテム」の授与等の甘言を用いられ、被疑者の言うことに従ってしまう
ゲーム内で使用する有料の「アイテム」をプレゼントすることにより、子供の信頼を得た上で、犯罪行為を行う者がいる。
(5) ゲームの上級者に対する「憧れ」の感情を利用される
ゲーム攻略のアドバイスをするなど「ゲームの上手な優しい人物」を演じて、子供の信頼を得た上で犯罪行為を行う者がいる。
警察庁の呼びかけ
オンラインゲームやSNSは楽しいコミュニケーションツールである一方で、不特定多数との接触による危険性も潜んでいる。特に匿名性が高い環境では、相手の意図を見抜くことが難しいため、注意が必要だ。警察庁は、「知らない人とは個人情報を共有しない」「少しでも不安に感じたら相談する」といった基本的なルールを子どもたちに徹底するよう促している。
今回の調査結果は、インターネット社会における新たな課題を浮き彫りにしており、安全なデジタル環境を構築するためには家庭や学校、社会全体で取り組む必要性があると言える。
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