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日本人宇宙飛行士・大西卓哉さんら搭乗宇宙船 ISSへ向け打ち上げ成功

2025/03/15
更新: 2025/03/15

JAXAの宇宙飛行士の大西卓哉さんらが搭乗する宇宙船「クルードラゴン」が、現地時間14日にアメリカ・フロリダ州から打ち上げられた。宇宙船は予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。15日に国際宇宙ステーション(ISS)へ到着し、約6か月間滞在する予定だ。

有人宇宙飛行ミッション「クルー10」は、長期滞在ミッションとしては73回目となる。

スペースXの宇宙船クルードラゴンの一つ「エンデュランス」には、ミッションスペシャリストである大西さん(コマンダー)のほか、NASAの宇宙飛行士で現役の米陸軍大佐であるアン・マクレインさん(クルー10指揮官)、NASAの宇宙飛行士で米空軍少佐のニコル・エアーズさん(パイロット)、ロシアのロスコスモス所属の宇宙飛行士キリル・ペスコフ氏(ミッションスペシャリスト)が搭乗している。

打ち上げから分離までの様子はライブ配信された。大西卓哉さんは、「日本のみなさん、たくさんの応援ありがとうございます。9年ぶりの無重力の感覚をかみしめています」と語った。

大西さんにとっては2回目のISS滞在となり、前回は第48次/第49次長期滞在クルーの一員として2016年7月~10月にかけてISSに約113日間滞在した。大西さんは日本人宇宙飛行士として3人目のISS船長を務める。

ウィルモアさんとウィリアムズさん、長期滞在の末に帰還へ

今回の打ち上げに関連し、昨年6月にISSに向かい、8日間の滞在を予定していたNASAの宇宙飛行士ブッチ・ウィルモアさんとスニ・ウィリアムズさんは、宇宙船の不具合により、9か月以上の地球に帰還ずにいる。

クルー10の到着後、ウィルモアさんとウィリアムズさんはISS運用の引き継ぎを行い、クルー9の4名の飛行士は帰還準備に入る。通常5日間の引き継ぎ期間は、今回は2日間に短縮される予定。その後、クルー9の4名はドラゴン宇宙船で地球へ帰還し、最短で3月19日にフロリダ沖に着水する見込みだが、天候次第で変更の可能性がある。

今回のクルー10の打ち上げは当初3月12日に予定されていたが、発射台の油圧系統の不具合により延期。さらに翌13日は悪天候のため再延期となっていた。

NASAは、ウィルモアさんとウィリアムズさんの長期滞在について議論があったものの、機材の可用性やISSミッションの継続性を考慮し、最善の判断を下したとしている。

クルー10のミッション内容

クルー10は、ISS滞在中に技術・生理学的実験を行う。主な内容は以下の通り。

  • 月面用ナビゲーションソフトのバックアップテスト
  • アマチュア無線を利用した学生との交信
  • 長期宇宙滞在が人体に与える影響の研究

特に注目されるのは「Drain Brain 2.0」という実験で、微小重力環境における脳から心臓への血流の変化を研究する。これは、宇宙飛行士の健康維持だけでなく、地球上の心血管疾患患者の治療にも役立つ可能性がある。

また、マクレインさんはNASAの「CIPHER」プロジェクトに参加し、宇宙空間での生理的・心理的変化を研究する。このミッションについて、「最も楽しみにしているのは人間科学の研究」と語り、「宇宙飛行士が自ら協力しなければ、人間の体について宇宙で学ぶことはできない」とコメントしている。

フロリダ州担当記者。米国の宇宙産業、テーマパーク産業、家族関連の問題も取り扱う。