トランプ米大統領は、前政権が発令した19本の大統領令および政策を撤回した。ホワイトハウスは14日、撤回対象となったバイデン政権の施策の一覧を公表した。
「アメリカ政府に常識を取り戻し、国民の潜在能力を最大限に引き出すために、これらの撤回が必要であると判断した」と、トランプ大統領の大統領令には記されている。
就任初日で約80本の大統領令を撤回
トランプ大統領は就任初日、バイデン政権時代の約80本の大統領令や通達を撤回していた。今回の決定では、バイデン政権が2021年に発令した連邦契約労働者の最低賃金を15ドルに引き上げる大統領令を無効化した。バイデン前大統領はこの政策を「連邦政府の業務効率向上につながる」と説明していたが、トランプ政権は行政のスリム化を目指す政策の一環として撤回を決定した。
また、トランプ氏は政府の無駄を削減するための新機関を設立し、連邦予算の大幅削減を進める方針を示した。
エネルギー政策の見直し
トランプ氏は、バイデン政権が国防生産法を活用し、エネルギー転換政策を推進した措置も撤回した。バイデン前大統領は、電気ヒートポンプや太陽光パネルの普及を促すためにこの法律を適用し、2022年6月には太陽光発電業界の支援策として、東南アジア産の太陽光パネルに対する2年間の関税免除を決定していた。
トランプ政権はこれを「政府による過度な市場介入」とみなし、撤回を決定した。
労働政策の変更
トランプ氏はまた、バイデン前大統領が2024年に発令した労働基準の向上を目指す「グッド・ジョブズ(Good Jobs)大統領令」を撤回した。この大統領令は「家族を支えられる賃金、職場の安全、そして公正な労働組合加入の機会」などの向上を目的としていたが、トランプ政権は「企業や政府機関への過度な規制強化につながる」として撤回した。
また、労働組合主導の政策を優先し、産業界に不要な規制を課していたバイデン政権の指示も取り消した。
ホワイトハウスは、バイデン氏の行動が「アメリカの企業や政府機関に過激な労働政策と徒弟制度の義務化」を強制したと述べた。
また、業界に不必要な規制を課す労働組合主導の政策を優先するというバイデン氏の指示も削除した。
バイオテクノロジー政策の見直し
トランプ氏は、バイデン政権がバイオテクノロジーとバイオ製造分野への政府投資を推進した大統領令を撤回した。
バイデン政権は2022年9月、米国バイオテクノロジー・バイオ製造イニシアチブを発足させ、サプライチェーンの強化や医療の向上、環境対策を目的に連邦資金を投じる方針を示していた。しかし、トランプ政権はこれを「不必要な政府介入」として撤回した。
外交・ジェンダー政策の変更
トランプ大統領は、バイデン政権が外交および海外援助政策において推進していたジェンダー関連の政策を撤回した。
また、「生物学的な性別のみを公式に認める」大統領令を就任初日に発令し、女性の権利を保護する方針を強調。さらに、女性スポーツにおける性別のルールを明確化する大統領令も発令した。
国立公園・保護区政策の見直し
トランプ政権は、バイデン前大統領が発令した約100万エーカーに及ぶ新たな国立公園や保護区の設立に関する大統領令を撤回した。
トランプ大統領は、「これらの広大な土地が保護されることで、経済開発やエネルギー生産に活用できなくなっている」と指摘し、経済成長を妨げるとして撤回を決定した。
トランプ政権の方針:「バイデン政権の政策を撤回し、経済と安全保障を回復」
ホワイトハウスは声明で、トランプ大統領は、バイデン政権の「破滅的な政策」を撤回し、「アメリカを再び繁栄、安全、強さへの道に戻す」という選挙公約を果たしていると述べた。
また、「わずか2か月で、トランプ大統領はバイデン前大統領が就任1年目に署名した大統領令の総数よりも多くの大統領令を撤回した」と投稿した。
トランプ氏は、2期目の就任宣誓から数時間以内に、前政権が発令した撤回すべき追加の大統領令、布告、覚書のリストを作成するようスタッフに指示した。
大統領令の署名時には「これは始まりにすぎない」と述べ、今回の措置が政府機関と経済の立て直しの第一歩であると強調した。
ホワイトハウスは、「今回の命令の撤回は、アメリカ連邦政府が我々の制度と経済を修復するために講じる多くの措置の最初のものとなるだろう」と述べた 。
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