米連邦政府の資金提供を受ける報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の記者、プロデューサー、アシスタントら約1300人が休職を命じられた。VOAのマイケル・アブラモウィッツ局長が3月15日、LinkedInに投稿した。
アブラモウィッツ氏は、「83年の歴史を誇るVOAが初めて沈黙することになった」と述べ、事態の深刻さを強調した。
一方、VOAの新局長候補であり、VOAを傘下にもつ米グローバルメディア局(USAGM) の特別顧問を務めるカリ・レイク氏は、「VOAはもはや存続は困難」との見解を示した。
米国グローバルメディア局(USAGM)の措置
USAGMは同時に、東欧諸国を対象に放送を行う「ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティ」と、中国や北朝鮮向けに放送する「ラジオ・フリー・アジア」への助成金を打ち切った。
背景には、トランプ米大統領は3月14日、官僚機構の縮小が必要だとして、USAGMを含む他の6つの政府機関に対し、法令で定められた最低限の業務に縮小するよう指示する大統領令に署名した。
VOA局長「VOAは米国の貴重な資産」
アブラモウィッツ局長は、今回の決定に強く反発し、VOAはアメリカにとって「かけがえのない財産」だと、VOAの役割の重要性を強調した。
「共産主義、ファシズム、抑圧との戦い、そして世界中の自由と民主主義のための戦いにおいて、重要な役割を果たしている」
また、VOAは毎週48の言語で3億6千万人以上の視聴者に情報を届けていると指摘し、同機関の国際的影響力を訴えた。
大紀元が確認したところ、VOAの公式サイトのホームページでは、トップ記事の日付は3月15日で、その他の主要記事のほとんども14日または15日に公開されたものだ。
カリ・レイク氏「VOAは改革不能」
レイク氏は声明の中で、USAGMは「巨大な腐敗の温床であり、アメリカの納税者にとって重い負担」だと述べ、「もはや再建は不可能だ」と主張した。
レイク氏は、連邦法が許す限りUSAGMを最小限の規模に縮小することを提言している。
また、「この機関には、才能があり献身的に働く公務員もいるが、それは例外であり、決して一般的なことではない」と述べた。
レイク氏は「残念なことに、自己の利益を優先する内部関係者が、外部の活動家グループや急進的な左派の支援団体と結託し、USAGMを組織を『トランプ政権から守る』仕組みを作り上げたため、改革が不可能になった」と批判した。
さらに、「USAGMは税金を使って虚偽の情報を発信し」「それをワシントン・ポストやNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)など、明らかな利益相反を抱えた偏向報道機関が拡散し、彼らの度を超えた浪費、不正、汚職を意図的に隠蔽していた」 と指摘した。
「トランプTV」ではなく「真実を伝えるメディア」に
数週間前、レイク氏は「VOAをトランプTVにする」つもりはないが、CNNやCBS、MSNBCのような報道姿勢も取るべきではないと主張した。
2月21日に開催された保守政治行動会議(CPAC) で、「我々は情報戦争を戦っている。『真実』に勝る武器はない。VOAはその武器になり得る」と語った。
トランプ氏は、USAGMの新局長にブレント・ボゼル氏を指名しており、現在上院の承認待ちとなっている。
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