中国製EVの事故や炎上ケースが多発しており、「中国製EVに乗るのは命がけ」というのが定番の皮肉として定着しつつある。
3月15日、広東省広州市で開かれた車の問題を指摘するイベント(「2025第五屆問題車(広州)車主服務日」)において、「問題車」のオーナーたちは怒りの声を上げた。
その中でも特に注目を集めたのが、中国新興EV(電気自動車)ブランド「智己汽車(Zhiji Motor)」のEV「L7」のオーナーだ。
同オーナーは「問題の車」を30万元(約600万円)以上で購入(新車)した。しかし、約1年前に重大事故に遭った時、エアバッグが作動しなかったという。
車の欠陥と、メーカーや販売店の無責任な対応を「告発」するため、怒り心頭なオーナーは、山東省臨沂市(りんぎ‐し)から1700キロ以上離れたイベント会場のある広州市まで事故車をレッカー移動した。
「もうすぐ1年になるのに、いまだに対応してもらえない。車メーカーの責任感はどこにあるのか?」とオーナーは世論に訴えている。

事故
以下が車オーナーによる訴えである。
事故は2024年4月29日に発生した。
「L7」は対向車との衝突により、車輪やドアが脱落するほどの甚大な被害を受けた。しかし、エアバッグは作動しなかった。
車のオーナーは、販売店やメーカーに対し、購入代金の返金と2万元(約40万円)の補償を求めたが、要求は無視され続けた。
この件について、中国メディアが販売店に取材を試みたが、販売店側は「メーカーから回答済みだ」とだけ答えて電話を切るなど、強硬な態度をとったという。
ただでさえ不安だらけの品質問題に加え、このような冷たい対応は、消費者の不安を増幅させるばかりである。
(「問題車」のイベント会場に展示された「問題車」。2025年3月15日、広東省広州市、「2025第五屆問題車(広州)車主服務日」)
相次ぐEV事故と隠蔽される真実
中国産EVの事故が相次いでおり、時には致命的なケースも発生している。しかし、事故に関する情報は規制され、消費者が真相を知ることは困難な状況である。
製造コストを抑えるために、安全基準が軽視されているのではないか、また、こうした問題が国家的な戦略として、隠蔽されているのではないかという疑念は拭えない。
EVの普及が急速に進む中で、安全性を無視したまま市場を拡大し続ける中国の自動車産業。このままでは、消費者の命が危険にさらされ続けることになる。果たして、このまま見過ごしてよいものだろうか?
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