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三菱UFJもNZBA脱退か 脱炭素枠組みから脱退する企業が増加

2025/03/18
更新: 2025/03/18

ブルームバーグによると、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、銀行業界の温室効果ガス排出量削減を目指す国際的枠組み「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から脱退する方針を固めた。関係者によると、MUFGは今後の対応方針を社内で協議しており、正式な決定は近日中に発表される見通しのようだ。脱退すれば三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)野村ホールディングス(HD)に続いて3社目の脱退となる。

NZBAは、国連が主導する「グラスゴー金融同盟(GFANZ)」の一部で、2021年4月に設立された。世界の主要銀行が2050年までに融資・投資ポートフォリオの温室効果ガス排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にすることを目標に掲げている。加盟銀行は、各国のパリ協定目標に沿った排出削減目標の設定や、進捗状況の定期的な報告を義務付けられている。

背景としてNZBAが求める排出量削減目標の厳格さと、現実的な融資ニーズとのバランスの難しさがあり、2023年以降、欧米の大手金融機関の間でも脱退の動きが見られている。

昨年、フランスのBNPパリバやアメリカのJPモルガン・チェースなど、複数の大手銀行がNZBAからの脱退を検討したと報じられた。これらの銀行も、現実的なビジネスモデルとの乖離や、過度な規制への懸念を理由に挙げていた。

金融専門家でESG内部告発者のデザリー・フィクスラー氏はXのアカウントで以下のようにNZBAを批判している。

・高いエネルギーコスト 太陽光や風力は化石燃料よりも高価であり、間欠性や送電網接続などの問題により価格が上昇している。

・環境への害 風力および太陽光発電プロジェクトは土地と野生生物を破壊する。

・経済的必要性  手頃な価格の化石燃料は、特に脆弱なコミュニティの成長を促進し、生活水準を向上させる。

・準備不足  長期ストレージ(貯蔵[保管]場所)、送電網のアップグレード、またはより安価な代替手段なしに移行することは実現不可能。

・ヨーロッパの失敗  ドイツの実質ゼロによる経済衰退は明らかな警告だ。

・エネルギー安全保障は重要 化石燃料は国家の防衛と安定にとって不可欠。

・ESG の災難  ESG(環境、社会、ガバナンス)投資は期待どおりに機能せず、効果を発揮できず、コストのかかる官僚的な詐欺であることが判明した。

「アメリカ人は気候変動を拒否しているのではなく、効果のない政策を拒否している。人々は、将来起こるかどうかわからない問題に対する、費用がかかり、実証されていない解決策に費用を払うことを拒んでいる。共和党の圧力を非難するのは安っぽい攻撃だ。真実は、アメリカでは国民の常識が勝ったということだ」

正式な脱退表明が行われた場合、MUFGの判断は国内外の金融業界にも影響を与える可能性がある。

ブルームバーグによると日本ではじめてNZBAからの脱退を決定した三井住友FGは、「2050年に投融資ポートフォリオ全体をネットゼロとする目標を独自に設定し取り組みを進めており、社内体制の整備・高度化も進んできていることから、NZBAへの加盟を継続せずとも独自に対応できる状況にある」と説明し、脱炭素への取り組み継続を示唆していた。次に脱退した野村HDも2050年までに主な投融資先の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標は維持する意向を示している。

MUFGの判断の今後の発表に注目が集まっている。