米国務省は、先週「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」とされた南アフリカ駐米大使は21日までにアメリカを出国しなければならないと発表した。
米国務省のタミー・ブルース報道官によると、マルコ・ルビオ米国務長官が南アフリカのエブラヒム・ラスール大使をアメリカでペルソナ・ノン・グラータとして認定し、金曜日にアメリカのソーシャルメディアで発表した後、南アフリカ大使館の職員が国務省に召喚され、この決定について説明した正式な外交照会を言い渡した。
ブルース報道官によると、ラスール大使の外交特権と免責特権は月曜日(3月17日)に失効し、アメリカへの最低限の敬意を求め、金曜日(3月21日)までにアメリカから退去しなければならないと述べた。
南アフリカ外務省のクリスピン・フィリ報道官は、月曜日のテレビインタビューで、ラスール大使はまだアメリカに滞在しているが、できるだけ早めに出国すると述べている。
アメリカでは駐米大使の国外退去の要請は極めて珍しくあまり見られない状況。
ルビオ国務長官はカナダで開催されたG7外相会議からアメリカに戻る途中でこの決定をX(旧Twitter)で発表した。ルビオ氏はラスール大使についての投稿の中で、トランプ大統領を憎む「人種差別的な政治家」だと指摘した。
ルビオ氏の投稿には、米保守系サイト「ブライトバート・ニュース」の記事へのリンクが添付されていた。その記事は、ラスール大使が3月14日の早い時間にヨハネスブルグで行ったシンクタンク向けの講演で、講演の一部分でトランプ政権の背景は、アメリカの白人の多数派がとった行動ではない事について語った。
ブルース報道官は3月17日記者団に対し、「どの大使館にも両国の関係を促進できる人材がいるはずで、このような発言は大統領だけでなく、すべてのアメリカ人にとって容認できない」と述べた。
トランプ大統領は先月、南アフリカへの資金援助を停止する大統領令に署名した。この大統領令は、多くの方面から南アフリカ政府を批判した。
例えば、南アフリカ政府が国内で反白人政策を追求し、パレスチナのハマス・グループやイランといったテロ支援国家を援助していることを述べている。そして、南アフリカの外交政策は反米的であり、南アフリカが国際司法裁判所においてガザでのイスラエルによる大量虐殺を非難したことを批判した。また、南アフリカは中国共産党と密接な関係にあると述べた。
南アフリカの援助を停止した他、ルビオ国務長官は2月20日、南アフリカが議長国を務めたG20の外相会合を欠席した。欠席を表明した後、ルビオ国務長官は南アフリカの反米政策を批判し、南アフリカ政府は多様性、公平性、包括性(DEL)の枠組みや気候変動問題を推進するためにこの会議を利用していることについて言及した。
南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は17日記者団に対し、ラスール大使が帰国したら現状を説明すると述べた。同大統領は、南アフリカ政府はアメリカ国内の不快感、そして特にラスール氏の発言に対しての不快感に遺憾の意を表明し、アメリカとの関係修復に取り組んでいくと強調した。
「これは小さな問題であり、我々はトランプ大統領や国民に深い敬意を払い、アメリカとの円滑な関係を築き上げるつもりだ」とラマポーザ大統領は述べている。
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