3月21日、アラブ首長国連邦(UAE)が今後10年間で総額1兆4千億ドル(約210兆円)をアメリカに投資する方針を固めたことが、ホワイトハウスの発表で明らかになった。この合意は、UAE高官が今週ホワイトハウスでトランプ大統領と会談したことを受けて実現した。
この10年間の投資枠組みは、アメリカにおけるAIインフラ、半導体、エネルギー、製造業などの分野における既存投資の強化を目的としている。
ホワイトハウスは、UAEによる具体的な投資案件として、次の5つを挙げている。
まず、米企業のエヌビディアとxAIが、アブダビの投資会社MGX、ブラックロック、マイクロソフト、グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズと連携し、最大1千億ドルを投じて次世代のデータセンターおよびエネルギーインフラを整備する。このプロジェクトは、アメリカのAI分野における国際的な競争力を強化する狙いがある。
また、UAEの政府系ファンドADQは、米エナジー・キャピタル・パートナーズと共同で、エネルギーインフラとデータセンターに対し250億ドルの投資を行う。
さらに、XRG社は、テキサス州にあるLNG(液化天然ガス)輸出施設「Next Decade」への出資を通じて、米国の天然ガス生産および輸出を支援する計画だ。
ADQとオリオン・リソース・パートナーズは、重要鉱物の安定供給を目的とした12億ドル規模の鉱業投資を実施する。
加えて、エミレーツ・グローバル・アルミニウム社は、アメリカで35年ぶりとなる新たなアルミ製錬所を建設する方針を示した。これにより、アメリカのアルミ生産量はほぼ倍増する見込みだ。
今回の大型投資は、18日にトランプ大統領がホワイトハウスでUAEの国家安全保障顧問タフヌーン・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン氏と会談した際にまとまったものである。会談には、UAEの主要な政府系ファンドや企業の幹部らも同席した。
ザイード・アル・ナヒヤーン氏は、国家安全保障担当のウォルツ大統領補佐官とも面会し、両国間の安全保障や経済協力について意見を交わした。
ナヒヤーン氏は声明で、「地域および世界の安定に向けた基盤を強化する取り組みについて協議した。UAEと米国は、課題の克服と発展機会の創出に向け、共に取り組んでいる」と述べた。
ウォルツ氏は、「UAEは米国にとって信頼できる重要なパートナーである」と応じた。
トランプ氏はこれまで、外国からの投資を経済活性化と雇用創出の手段として強調してきた。2月には、同盟国からの投資を迅速に受け入れる体制を整備する「国家安全保障大統領覚書(NSPM)」に署名している。この覚書には、アメリカの国家安全保障に反する国との同分野での提携を制限する条項も盛り込まれている。
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