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逆風下の中小企業 なお高まる経営者の信頼と自信

2025/03/23
更新: 2025/03/23

論評

中小企業は、アメリカ建国以来、同国の経済を支えてきた存在である。1835年に創業した「ホテル・サクソンバーグ」もその一例であり、かつては「ヴォゲリー・ハウス」「ベルヴェデーレ・ハウス」「ラウベ・ハウス」「セントラル・ホテル」などの名で親しまれていた。約200年にわたり、地域の文化的な拠点として親しまれてきた。

昨日、現在のオーナーが突然の閉館を発表した。買収からわずか2年後の決断だった。この閉鎖により、歴史あるレストラン兼ホテルは幕を下ろし、数十人の従業員が職を失うことになった。

従業員数が比較的少ないため、こうした出来事は全国メディアに大きく取り上げられることはなかった。しかし、アメリカでは最も多くの人が小規模事業で働いており、このような事例が積み重なれば、その影響は決して小さくない。

アメリカ中小企業庁(SBA)によると、国内企業の60%以上が小規模事業だ。数人規模のフードトラックから100人程度の企業(地元の機械工場など)まで幅広い。

2020年以前は、従業員500人未満の企業で働く人が多数を占めていたが、過去4年間でその比率は低下。現在では、従業員500人以上の企業で働く人が全体の53%を占めている。

つまり、アメリカはもはや中小企業の国ではない。今年2月に米国勢調査局が発表した「ビジネス・ダイナミクス統計」箱の変化を示している。最も顕著な変化は、従業員1万人以上の大企業で働く人の増加と、100人未満の企業で働く人の減少だ。

例えば、次のような出来事があった。昨年、地元で70年にわたり営業してきた個人経営の食料品店「フェリーズ」が閉店した。発端は、店内にあった小規模な独立系薬局が突如として営業を終了したことだった。そこから影響が広がり、最終的には経営を続けることが困難となり、閉店に追い込まれた。

地域に長年親しまれてきたこの家族経営の食料品店は、店舗の大きなガラス窓とFacebook上に「重い気持ちで閉店する」との告知を掲示した。「地域社会の礎として、世代を超えて人々のつながりを育んできた」とも記されていた。

店長のゲイリー・シルヴェストリ氏によると、薬局からの家賃収入および来店客の減少は大きな影響を及ぼした。薬局の撤退により、全体売上の20%を失ったという。

さらに、周辺にはターゲット、ウォルマート、地元大手のジャイアント・イーグルなど、大規模チェーンが集中しており、仕入れ価格や販売戦略で優位に立つこれらの企業との競争も打撃となった。

アメリカの卸売業界専門誌「Wholesale Central」の編集者ジェフ・ヘイスティングス氏は、1962年にウォルマート、Kマート、ターゲットといった大型店が一斉に創業して以来、小規模な地元店舗が厳しい競争にさらされてきたと指摘している。

同氏は2006年にウォルマートがシカゴ西部に出店した際、周辺地域で82軒の小売店が閉店し、約300人の雇用が失われたという事例を紹介している。

従業員が10人から100人規模の大企業に押しやられているのは、食料品店やレストラン、ホテルに限らない。地元の小規模なガソリンスタンドや衣料品店、さらには閉業や大手企業との合併に追い込まれる保険会社なども、大企業の拡大によって、その居場所を失いつつある。

サクソンバーグの住民たちは、ホテルの閉館と雇用の喪失を惜しむ声を上げる一方で、歴史ある施設が再び地域の交流拠点として再生されることを期待している。

ただ、中小企業にとって明るい兆しもある。2025年1月には、建設業、製造業、小売業、サービス業を中心に事業活動が活発化した。多くの経済専門家が回復を見込んでいる。全米独立企業連盟(NFIB)調査センターによる「小規模事業経済動向調査」では、経営者の楽観度が過去51年の平均を上回った。

この四半期ごとの報告は、経済的な課題が続く中にあっても、中小企業全体が再び自信を取り戻しつつあることを示している。こうした動きが現在の傾向を覆す可能性も示唆している。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。