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米国 ロシアとウクライナの黒海停戦合意を発表

2025/03/26
更新: 2025/03/26

アメリカ政府は3月25日、ロシアとウクライナが黒海における海上停戦に合意したと発表した。

ホワイトハウスによれば、両国は黒海での航行の安全確保、武力行使の回避、商業船の軍事目的での使用防止について合意したという。

この合意はアメリカの仲介によって成立したもので、ロシアとウクライナにはそれぞれ異なる支援が提示された。ロシアに対しては、農産物や化学肥料の輸出再開を支援することに加え、海上保険料の引き下げ、港湾利用や国際送金システムへのアクセス改善を約束した。これらはロシア経済にとって重要な分野であり、2022年のウクライナ侵攻以降、西側諸国の制裁によって大きな影響を受けていた。

一方、ウクライナに対しては、戦争捕虜の交換、民間人拘束者の解放、強制的に移送されたウクライナの子どもたちの帰還支援を約束した。また、ロシアとウクライナの双方が、互いのエネルギーインフラへの攻撃を控えるための措置を取ることでも合意に達した。

今回の合意は、3月23日から25日にかけてサウジアラビアの首都リヤドで行われた協議の結果として発表された。この協議は、サウジのムハンマド皇太子の仲介により開かれたもので、事前にトランプ大統領がロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領とそれぞれ行った首脳会談をもとに進められた。

アメリカの発表を受け、ロシア大統領府は声明を出し、合意が発効するには追加条件が必要だと表明した。ロシア側は、ロシア農業銀行などが国際送金網SWIFTから遮断されている問題を含め、金融機関に対する制裁解除が必要であると主張。また、ロシア船籍の船舶に対する港湾利用や貿易、金融サービスに関する制限の撤廃も求めている。

さらに、現在実施中のエネルギー施設への攻撃停止措置については、3月18日から30日間の凍結が始まっているが、相手国が合意を履行しなければ停止措置を中断する可能性もあると警告した。

ゼレンスキー氏は、ビデオ演説で今回の協議を「和平に向けた正しい第一歩」と評価しながらも、ロシア側がすでに合意内容を歪めようとしていると批判した。ゼレンスキー氏は、合意は制裁解除を条件としていないとの認識を示し、「アメリカは3月11日から黒海やエネルギーに限らず、全面的かつ無条件の停戦を提案していたが、それを拒否したのはロシアだ」と述べた。

ロシアのラブロフ外相は、「過去のウクライナとの合意の経験を踏まえると、確実な履行を保証するためには、ワシントンからゼレンスキー政権に対して明確な指示が出されることが唯一の保証となる」と述べた。

ゼレンスキー氏は、「世界はロシアを信頼していない。ロシアは、戦争を終わらせる意思があること、そしてアメリカやトランプ大統領に対して嘘をつかない姿勢を示すべきだ」と述べた。

ホワイトハウスは、黒海とエネルギーに関する合意の履行にあたり、第三国の関与を歓迎すると表明している。

今回の協議は、トランプ政権が露ウの広範な和平合意に向けて進めている外交努力の一環であり、部分的停戦やエネルギーインフラの保護を含む枠組みとして位置づけられている。中東外交ルートを主導するスティーブ・ウィトコフ特使は、黒海における航行安全の分野で「実質的な進展が期待できる」と述べた。

ロシア側は、西側諸国の制裁が名目上は例外とされているにもかかわらず、実際には食料や肥料の輸出に深刻な影響を及ぼしており、それが途上国に不利益を与えていると主張してきた。今回の支援措置は、こうした訴えに一定程度応えたものともいえる。

ホワイトハウスは、今回のリヤド協議がトランプ氏とプーチン氏との間で行われた首脳会談の合意内容に沿ったものであることを強調した。また、露ウ間のその他の争点、たとえば停戦ラインや履行の監視体制などについては、今後も協議が継続されると述べている。

アメリカ政府は、協議開催を支援したサウジアラビア政府に対して謝意を示した。

エポックタイムズ記者。テネシー州をはじめとする米国南東部を担当。