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パナマ運河の戦略的重要性 トランプ大統領と中共の攻防

2025/03/27
更新: 2025/03/27

パナマ運河を巡り、米中の戦略的競争が激化していた。CKハチソンによる港湾売却計画に、中国共産党(中共)が反発する中、トランプ大統領は、パナマ運河の管理権奪還を示唆した。国際貿易の要衝であるパナマ運河の重要性と、米中の思惑を徹底解説しよう。

香港の大富豪 李嘉誠氏が率いるCKハチソンは、最近、世界23か国の43の港湾事業を228億ドルで売却する計画を発表した。その中には、パナマ運河の両端に位置する港も含まれていて、取引相手は、米国の投資大手ブラックロックが率いるコンソーシアムであった。

このニュースが報じられると、中国共産党は激怒し、機関紙を含む複数のメディアが、10本以上の記事を連続して発表し、李嘉誠氏を批判した。なぜ共産党は、李嘉誠氏によるパナマ運河の港の売却に、強く介入しようとしているのか。また、トランプ大統領は、パナマ運河の主権を取り戻す意向を示したことで、この運河が注目される理由と、その重要性について考えてみよう。

パナマ運河の重要性

パナマ運河は全長82キロメートルで、パナマ地峡を横断し、大西洋と太平洋を結ぶ世界の主要な海上交通路である。その重要性は、以下の3つの側面に表れている。

1.グローバル貿易のハブ

1914年に完成したパナマ運河は、2つの大洋を結び、アメリカ東海岸からアジア、アメリカ西海岸からヨーロッパへの海上輸送距離を大幅に短縮した。例えば、ニューヨークから東京までの航路は、南米のホーン岬を回る経路と比べて、パナマ運河を通ることで約1万2200キロメートル短縮され、航程の約40%を節約できるようになった。

2024年のパナマ運河当局の統計によると、180の航路上で9944隻の船舶が、170か国・1920の港からパナマ運河を通過し、貨物量は2.13億トンに達し、世界の貿易貨物量の約5%を占める重要な国際貿易のハブとなっていた。

2.国家安全保障戦略の焦点

パナマ運河は、軍事行動において重要な役割を果たし、海軍の迅速な移動や戦略物資の輸送を可能にした。第二次世界大戦や冷戦の期間にも、その重要性は変わらなかった。

最近、中国の国有企業が運河の両端に投資し、運河の管理権や周辺港湾の発展を変えようとしているため、運河を巡る地政学的競争、特に米中間の戦略的競争が激化していた。

3.経済とエネルギーへの影響

パナマ運河の年間収入は30億ドルに達し、パナマ経済の重要な柱となっている。主要な利用者はアメリカで、約66%の貨物が運河を通じてアメリカ大陸の両岸に運ばれていて、また、アメリカがアジアに輸出する液化天然ガスの約15%もパナマ運河を通過していると言う。

トランプ大統領がパナマ運河の管理権を狙う理由

トランプ大統領が再び就任した場合、パナマ運河の管理権を取り戻したい理由は、3つだ。

1.中国共産党の浸透を阻止する

長年にわたり、中国企業はパナマ運河の管理に深く関与してきた。例えば、

1)香港のハチソン・ワンポアは1997年に運河の両側にある主要港の長期リース権を獲得した。

2)中国招商局集団は、+パナマ最大の港に投資し、重要な物流インフラを掌握した。

3)ファーウェイはパナマで5Gインフラを敷設し、通信とデータセキュリティに影響を与えていた。

さらに、パナマ政府と中国共産党当局の関係は、日々緊密になっている。

1)2017年、パナマは中国と国交を樹立し、「一帯一路」を支持する方向に転じた。

2)2018年、中国企業は運河脇に深水港と物流パークを建設する許可を得て、運河の海運に対する影響力を増した。

アメリカが懸念しているのは、中国共産党が運河の軍事化を試みていることである。情報によると、中国共産党はラテンアメリカで軍事施設の建設を進めており、アメリカの海上戦略的優位性を直接脅かす可能性があると言う。

2.アメリカの戦略的管理の回復

1904年、アメリカ政府は、パナマ運河の建設を開始した。1914年に完成し、正式に開通した。1999年、トリホス・カーター条約(新パナマ運河条約)に基づき、アメリカは、運河の管理権をパナマ政府に移譲した。

トランプ大統領は、アメリカの運河に対する管理権の回復を主張し、経済制裁や交渉を通じてパナマとの協力を強化し、アメリカ企業の運河インフラへの投資を促進することで、中共の影響力を抑えようとしているのだ。

3.アメリカのエネルギーと貿易の優位性を保障する

アメリカは主にパナマ運河を通じてアジアに天然ガスを輸出していて、特にアジア市場へのエネルギー供給の安定性を維持する上で不可欠な役割を果たしている。トランプ政権がパナマ運河に注目する理由は、アメリカ・ファーストを実現し、貿易やエネルギー輸送、軍事戦略における米国の優位性を、確保するためであり、特に中米という重要な戦略的地点で、中国共産党の脅威に対処する必要があった。

分析によると、アメリカ政府は、経済的および外交的手段を用いて、パナマに圧力をかける可能性があるとされているが、より過激な行動を取るかどうかは、今後の動向を見守る必要があると言う。

新唐人