トランプ大統領は4月2日、以前の抜け穴を閉じるため、中国と香港からの低価格輸入品に対する関税免除を終了する大統領令に署名した。この「デミニミス免除(少額免税制度)」は、これまで800ドル以下の輸入品に適用され、関税を免除していたが、新たな措置では5月2日午前0時1分(東部標準時)から関税を課す。
この決定の背景には、中国が合成オピオイド(特にフェンタニル)の密輸を促進しているとの懸念がある。ホワイトハウスの事実シートによると、中国を拠点とする運送業者が低価値のパッケージに違法物質を隠し、この免除を悪用している。
今回の措置により、これらの輸入品には商品価格の30%、または1品あたり25ドルの関税が課され、6月1日以降は50ドルに引き上げられる。
トランプ氏は、中国からの違法薬物、とりわけ合成オピオイド(フェンタニルなど)の密輸が深刻化している現状に対応するための措置であると説明している。ホワイトハウスは、「中国に拠点を置く一部の業者が、低価格の小包に違法薬物を隠して送り、デ・ミニミス制度を悪用している」と指摘した。
また、今回の命令により、これらの輸送を担う国際配送業者には、米税関・国境警備局への出荷情報の報告、関税納付のための保証金の保持、そして定期的な納付義務を課すことになる。
国境警備局は、この制度変更によって、通関や検査などの業務負担が大幅に増加する見通しだとしている。2024会計年度中におけるデ・ミニミス対象の小包は13億6千万件を超えたと報告している。
この免税制度は、中国の大手EC企業であるSheinやTemuなどが、関税を免れながら低価格商品をアメリカ市場に投入する手段として活用してきた。結果として、国内業者との競争において優位な立場にあったとの指摘もある。
ホワイトハウスの通商・製造業担当上級顧問であるピーター・ナバロ氏は、2月4日に行われたPolitico主催のイベントで、「中国の犯罪組織は、この制度の抜け穴を利用して、フェンタニルだけでなくあらゆる種類の薬物をアメリカに密輸している」と述べた。
なお、今回の大統領令には、今後90日以内に商務長官が制度の影響を評価し、マカオからの輸入品にも同様の措置を適用するかどうか検討を求める内容が含まれている。
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