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連邦最高裁 DEI関連助成金の再開差し止め トランプ政権の主張を認める

2025/04/05
更新: 2025/04/05

米連邦最高裁判所は、トランプ大統領の要請を認め、教育省が再開を予定していた助成金の支給を一時的に差し止める決定を下した。この助成金は、教育現場における多様性、公平性、包括性(DEI)を重視するプログラムを対象としており、差別の是正や教員不足の解消を目的としていた。

今回の判断により、連邦地裁が命じた支給再開の措置は、差し止められて、控訴審の結果が出るまでの間、助成金は支給されないことになった。

この判断に関して、ジョン・ロバーツ首席判事は、政権側の救済申立てを却下すべきとの立場を示し、エレナ・ケーガン判事とケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事も反対意見を表明。ジャクソン判事の反対意見にはソニア・ソトマイヨール判事も加わった。

トランプ政権側は、マサチューセッツ州の地裁判事が下した命令について、「本来は連邦請求裁判所が扱うべき契約に関する問題であり、地裁には権限がない」と、主張し、政府側代理人のサラ・ハリス氏は、「地裁の命令は、行政の裁量を不当に制限するもので、政府に回復不能な損害を与える可能性がある」と、訴えていた。

最高裁は、助成金が一度支給されれば政府による回収が困難になることを懸念し、原告である8つの州がその点に反論していないことを指摘した。また、原告側は当面の間、各プログラムを独自に継続する財政的余裕があると認めており、仮に最終的に勝訴した場合は、後に正当な方法で補償を受けることが可能だと判断した。

この判断は、署名のない形式で示されたが、ロバーツ首席判事は救済措置に反対の意見を表明。ケーガン判事も、「この案件に最高裁が緊急に介入すべき理由は見当たらないとして反対した。ジャクソン判事も、「今回のような仮差し止め命令(TRO)は通常控訴の対象とはならない」と指摘し、司法手続き上の問題点を強調した。彼女の意見にはソトマイヨール判事が同意した。

一方、司法長官のパム・ボンディ氏は、SNS上で「地裁判事が政権の政策を一方的に止める権限はないことが明確になった」と述べ、今回の最高裁判断を歓迎した。

この訴訟(教育省 対 カリフォルニア州)は、トランプ政権が複数の州に対して、既存の助成金を停止したことに端を発した。これらの助成金は、主に低所得地域の教員確保や教育の質の向上を目的として支給されていたものだ。

トランプ氏は、第2期就任後、DEI政策の見直しに着手しており、2月には、「K-12教育(幼稚園〜高校卒業までの13年間の初等・中等教育)における過激な思想の排除」と題した大統領令を発令し、教育機関が差別禁止法などの連邦法に従っているかどうかを監督する方針を示していた。

教育省はこれを受けて、対象となっていた複数の助成金について、個別に再評価を実施。その結果、新政権の方針にそぐわないと判断したものを取り消したと説明した。