日本では空き家の増加が深刻な問題となっている。そうした中、多くの空き家や廃屋が外国人購入者を惹きつけている。
総務省の2023年調査によると、全国の空き家は約900万戸、住宅の13.8%を占め過去最多を記録した。背景には少子高齢化や都市への人口集中がある。管理されず放置される空き家が増え、倒壊や防犯上のリスクが指摘されていた。
政府は空き家バンクや補助制度などで対策を進めているが、所有者不明物件など課題は山積している。
そうした中、日本ではますます多くの不動産仲介業者やコンサルタントが外国人顧客向けにサービスを提供しており、かつて廃棄された空き家を探し、改修し、維持管理するのを支援している。『日経アジア』によると、円安の影響で外国人購入者の購買力が高まり、特定地域では100万円(約6673ドル)以下で物件を購入することも可能とされている。
台湾出身の黄(スティーブン・ホアン)氏が設立した「Koryoya」というサービス会社は古民家と呼ばれる田舎住宅や農家、町家と呼ばれる連棟住宅など日本の伝統的な不動産の取引を専門にしている。同社の顧客層はシンガポール、オーストラリア、アメリカから来ており、そのうち90%が海外在住者です。黄氏によると、古民家の価格帯は約500万~1千万円(約3.3万~6.6万ドル)であり、改修費用は通常1千万~2千万円が別途必要だという。
黄氏は、50代や60代の顧客は主に別荘を探している一方で、若い購入者は居住可能で収入も得られる物件を好む傾向があると述べている。日本に住みたい人にとっては、物件を購入して民宿に改装することで事業管理ビザを取得し、日本に長期滞在できる可能性がある。
しかし、一部の専門家は特に投資目的で不動産を購入する外国人に対して低価格が潜在的な落とし穴になる可能性があると警告している。空き家不動産の専門家・ケッチャム氏は、2024年に自身のコンサルティング会社「Akiyaz」を設立し、このような購入者に対して最低でも25万ドルを準備するよう勧めている。
2017年から日本の空き家不動産市場で活動しているケッチャム氏は、購入者に農村部では悪天候が交通に影響を及ぼしたり、長野県や新潟県などのスキーリゾート地では大雪が積もり屋根が崩壊するなど古い住宅特有の問題があることを認識すべきだと述べている。
同氏は富士山の景色やサーフィン向けの海岸線が楽しめる静岡県を推奨しており、その理由としてインフラが整備されていることや交通アクセスが良い点を挙げている。
また日本の不動産に興味を持つ外国人の一部は政治的またはその他の理由で海外移住を望んでおり、「現在では金融投資というよりもライフスタイルへの投資」となっていると語る。
ケッチャム氏は、日本が「安全でインフラが整備されており、交通アクセスも良く銃規制も厳しい」ため、「空き家売買には大きな可能性がある」と述べている。
野村総合研究所(NRI)は、2043年までに空き家数が倍増し1860万戸に達すると予測しており、それは全住宅の4分の1に相当する。
この問題は地域社会を疲弊させ、近隣物件の価格を下落させるだけでなく潜在的な危険にもなる可能性がある。またNRIは今後20年間で修繕されていない状態の物件数が倍増し165万戸に達すると予測している。
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