中国共産党が恐れるもの――それは「真実」である。
4月6日、元中国共産党総書記・胡耀邦の三男で自由派として知られた胡徳華の葬儀が北京で執り行われた。
参列希望者が1千人を超える中、多くの民主派や友人たちは公安によって足止めされ、葬儀参加を禁じられた。同国の著名なジャーナリスト高瑜氏もその一人であった。
高氏は、胡徳華の死因について「彼は血液の病を患っていた、彼の死は(コロナ)ワクチン接種と関係があると多くの友人が考えている」とX(旧ツイッター)で発信した。すると直ちに公安が彼女の自宅に現れ、投稿の削除を要求。高氏は削除要求を拒否し、2時間にわたる公安との対話の末にも一歩も引かなかったという。
胡徳華は生前、中国共産党の改革停滞や現指導者を「読書量が少ない」と痛烈に批判。彼の死去に伴い、ネット上では胡耀邦を偲ぶ声が高まり、(中国産)コロナワクチンによる健康被害への懸念が噴出したが、それらはすべて検閲と削除の対象となっている。
高瑜氏に対する投稿削除命令については、「言い当ててしまったがゆえの投稿削除命令か?」と信じるユーザーは多い。

「タブー」話題
中国で2019年末に新型コロナウイルスのパンデミックが発生してから、中国政府は短期間で国産ワクチンを開発し、全国民に対し強制接種を進めてきた。しかし、その国産ワクチンの有効性や安全性については国内外から疑問の声が絶えない。
中国のSNS上では、国産コロナワクチン接種後に、じんましん、白血病、心臓疾患などの副作用が現れたと訴える投稿が相次いでいる。近年急増する突然死も「ワクチン接種が原因ではないか」と指摘する声が広がっている。
しかし、こうしたワクチン副作用の被害を訴える人々は救済を求めても、当局からの対応は得られず、行き場を失っているのが現状だ。また、中国のネット上でもワクチン副作用を質疑する声は検閲されている。
中国で真実を語ることが、いかにリスクの高い行為であるかを物語る今回の事件。
新型コロナ対応をめぐる国民の不信と、言論統制の強化は、中国国内で広がる不満の火種となっている。

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