トランプ米大統領の関税政策や地政学的な緊張の影響で、世界の金融・貿易情勢が不安定になる中、インドのピユシュ・ゴヤル商工相は、現在の世界経済の混乱は、中国共産党(中共)による「不公平な貿易行為が大きな要因だ」と強く批判した。
同氏はムンバイでの演説で、「中国が2000年代初頭にWTOに加盟した際、国際社会は中国がより透明で公正な経済運営を行い、世界と協調すると期待していたが、実際はそうならなかった」と述べた。
ゴヤル氏によれば、中共は長年にわたり、製品を不当に安く売るダンピング、過剰な補助金の投入、外国企業への技術移転の強要、不適切な労働環境など、数々の不公正な手法を用いてきた。こうした政策によって、中国は過去25〜30年で急速に経済成長を遂げ、世界第2位の経済大国にまで成長したという。
「この成長は、公平なルールを無視して得られたものだ」とゴヤル氏は指摘し、「多くの国が問題を知りながら、見て見ぬふりをしてきた」と述べた。
また、インドが中国の大手自動車メーカー・BYDによる工場建設を認めなかった理由について、こうした不公正な貿易行為が背景にあると述べた。「我々は外国からの投資に慎重でなければならない。インドは自国の戦略的利益と安全保障を守らなければならない」と述べた。
一方、アメリカのトランプ大統領は同週、中国を除くすべての国に対する相互関税を90日間停止する方針を発表し、「共産中国はこれまでの歴史で最大の貿易侵害者だ」と強く非難した。
関税問題に関連して、ゴヤル氏は「インドがアメリカに課している関税は全体で17%程度だが、実際にアメリカから輸入されている製品にかかっているのはそのうちの一部にすぎない。実質的な平均関税率は7〜8%ほどで、決して高くはない」と説明した。
ゴヤル氏は最後に、「インドは今の国際的な課題を成長のチャンスと捉え、国際ルールに則って公正な競争を続けていく」と強調した。
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