近年、電気自動車(EV)や関連する「グリーンエネルギー」産業が急速に発展しているが、EVは大量のリチウム電池を必要とするだけでなく、大量のバッテリーの廃棄物や有害物質も生み出している。
「グリーンエネルギー」を力強く推進するため、欧州連合(EU)は2022年にある計画を策定し、2035年以降にEU域内で販売されるすべての新車および小型商用車が二酸化炭素を排出してはならないと定めた。つまり、2035年以降、化石燃料を使用する車の販売が禁止されることになる。この規制により、欧米の自動車メーカーは厳しい環境規制に対応するため、新エネルギー車の開発を迫られている。
しかし、これらの電気自動車に使用されているリチウム電池が徐々に老化・劣化するにつれて、質の低い電気自動車が大量に廃棄されるようになり、これらの廃棄されたリチウム電池をどのように処理するかが、人々にとって大きな悩みの種となっている。
いくつかの統計によると、世界のリチウム電池市場の価値は500億ドルを超えると推定されており、今後10年で1千億ドル以上に成長すると予想されている。
現在、多くの企業や科学者がリチウム電池の回収方法を研究しており、これらの廃棄リチウム電池を適切に回収・再利用することで、環境汚染の軽減を目指している。調査会社「Research And Markets」が先月発表した報告によると、2024年の世界のリチウム電池リサイクル市場の価値は73億ドルであり、2030年には239億ドルに達すると予測されている。
アメリカのエネルギー研究所(IER)の研究によると、世界全体で適切にリサイクルされているリチウム電池はわずか10%未満であり、アメリカにおける鉛蓄電池の99%という回収率とは対照的である。これは、リチウム、コバルト、マンガン、ニッケル、リン酸鉄などの有害な化学物質が土壌や地下水に浸透し、人間の生活環境や健康、飲料水に深刻な影響を与える可能性があることを意味している。
現在、企業、科学者、政府が協力して、リチウム電池の回収に関する法規制の整備と実施を進めており、廃棄されたリチウム電池を適切に回収・再利用し、一般の廃棄物と一緒に処分されるのを防ぐことで、環境汚染の軽減を目指している。
しかしながら、現時点での回収市場のリサイクル率は、世界で製造されるリチウム電池の需要量には到底追いついていない。その原因は、コストの高さやリチウム電池の分解・分離工程の煩雑さにある。また、電池メーカーにとっては、金属の市場価格が急騰しているとはいえ、リサイクルによって得られる金属のコストは、新たに採掘した金属を使うよりも依然として高いのが現状である。
現在、リチウム電池のリサイクルには主に4つの方法がある。
第一の方法は熱冶金法である。これは、1000℃の高温炉を使用して金属酸化物を還元し、コバルト、銅、鉄、ニッケルなどの合金を回収する方法だが、大量のエネルギーを消費し、有毒ガスを発生させるうえ、回収率も約50%にとどまっている。
第二の方法は湿式冶金法で、これは大量の化学溶液を使ってリチウム電池中の金属を抽出する手法である。しかし、溶剤の使用量が多く、処理に時間がかかり、適切に処理しなければ深刻な環境汚染を引き起こす可能性がある。
第三の方法は直接回収法で、これは電池内のカソード(正極)およびアノード(負極)材料を再調整し、リチウム金属を補充することで精製工程を減らす方法である。ただし、この方法は汚染に敏感であり、技術もまだ発展途上である。
第四の方法は電池回収および水分解技術(水電解技術)で、水と二酸化炭素を利用してリチウムを回収し、副産物としてグリーン水素を生成することにより、さらなる環境負荷の軽減を目指す方法である。しかし、現時点では研究が非常に限られている。
現在、主な回収方法は、リチウム電池を電子機器の小売店や有害廃棄物の回収所に持ち込むことで、一般ごみとして埋立処分や焼却されるのを防ぐことである。これらの回収業者は、廃棄されたリチウム電池を受け取った後、リチウム、コバルト、マンガン、ニッケルなどの有用な金属を精錬し、販売や再利用に供している。
しかし、これらの廃棄リチウム電池の精錬プロセスは、新たにリチウム金属を採掘する場合と似ていて、大量のエネルギー、化学薬品、淡水を必要とし、同様に環境汚染を引き起こす可能性がある。さらに、リチウム電池の回収が不適切に行われた場合、電池がショートして発火し、有毒ガスを放出する恐れもある。
中国でリチウム電池ごみが生じている
近年、中国共産党(以下、中共)は「中国製造2025」の実現に向けて、国家の力を総動員し、新エネルギー車の発展を強力に推進している。国内の新エネルギー車産業を育成するため、中共は莫大な補助金を投入し、自動車メーカーを支援してきた。しかし、時が経つにつれ、中国ではますます多くの新エネルギー車メーカーが倒産し、大量のEVの墓場が現れている。現在では存続している車メーカーは10社にも満たず、政府からの巨額な補助金がなければ生き残ることすら難しい状況である。
しかし、これらの中国産EVには多くの品質問題が存在する。たとえば、設計の欠陥、ブレーキの不具合、車体やシャーシの腐食、バッテリーの航続距離不足、漏電、バッテリーの自然発火、バンパーおよび車体支柱のクラッシュ安全性能が基準を満たしていないこと、さらにスマートパネルや自動運転機能の頻繁な暴走などが挙げられる。そのため、多くのユーザーはEVを転売・廃棄・処分することを選び、結果として大量の廃棄物と使用済みリチウム電池が生じている。
また、EVの修理や新しいリチウム電池の交換には非常に高い費用がかかるため、新車を購入するよりも高額になることもある。さらに、多くのEVは、減価償却後の残存価値が一般の自動車よりも低い傾向にある。
さらに、中国の自動車メーカーは中共からの補助金を得るために、中国共産党政府と協力して大量の低価格な電気自動車を海外に輸出している。その結果、ヨーロッパの港には電気自動車が大量に滞留しており、また、品質に問題のある多くの車両が他国から返品される事態となっている。
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