トランプ大統領は4月15日、社会保障給付の不正受給を防ぐため、連邦機関に対して対策を講じるよう指示する覚書に署名した。不法移民や詐欺行為を行う者への支払いを防止するのが目的。
覚書は、社会保障局や司法省、国土安全保障省などに向けたもので、不正受給対策を強化するよう求めている。具体的には、身元盗用や給付金詐欺の摘発を専門とする検察官の配置を、今年10月までに全米50の連邦検察局に拡大する方針。また、医療保険制度(メディケア、メディケイド)を悪用した詐欺の取り締まりも強化される。
重点的に取り締まりが行われる地域としては、不法移民が特に多いとされる司法管轄区が優先される。
社会保障局の監察官には、100歳以上の高齢受給者の所得報告書や、記録に不一致がある事例の調査も命じられた。こうした取り組みは、詐欺や身元盗用による不正受給を防ぐ狙いがある。
社会保障局には、社会保障詐欺に関与した個人に対して、民事上の罰則を再び適用することを検討するよう求められている。
今回の大統領覚書は、バイデン政権下で仮釈放した不法移民への対応を強化する中で発出された。ホワイトハウスは、2023年以降にアメリカ国内へ仮釈放した6300人以上の不法移民について、社会保障を含む連邦給付の対象から外したと発表している。これらの人物には、国家安全保障上のリスクがある者、犯罪歴を有する者、FBIのテロ監視リストに掲載されている者を含む。
対象者の社会保障番号は「受給資格喪失者ファイル(Ineligible Master File)」に再分類し、今後は一切の連邦給付を受けられない措置を講じた。
同日、社会保障局は新たな本人確認システムを導入すると発表した。給付金の受取口座の変更手続きなどに不審な点が見られる場合、本人確認のため窓口での対応を求めるようになった。過去の調査では、電話による口座変更が不正送金の約4割を占めており、数千万ドル規模の被害が確認されている。
さらに、財務省の「口座認証サービス」や、国土安全保障省と内国歳入庁との連携により、不法移民が不正に給付金を受け取っていないか、資金の流れを通じて調査を開始している。
トランプ政権は、「米国民の税金による社会保障は、本来正当に資格を持つ人々のためのもの。不法に入国した者がそれを受け取るのは許されない」と批判。
国土安全保障省の報道官は、「関係機関が情報を共有することで、国内にどのような人物がいるのかを正確に把握し、暴力犯罪者やテロリストの疑いのある者を特定・排除できる」と説明。その上で、「不正に登録した有権者を名簿から削除し、公的支援の不正受給防止にもつながる」と述べた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。