都圏の鉄道平均混雑率が増加
国土交通省は、都市鉄道混雑率調査結果(令和5年度実績)を公表した。調査によると、令和5年度の三大都市圏における平均混雑率が東京圏で136%、大阪圏で115%、名古屋圏で123%となり、東京圏で13ポイント、大阪圏で6ポイント、名古屋圏で5ポイントの増加となったことを発表した。調査は、通勤通学の時間帯における鉄道の混雑状況を把握するため、毎年実施している。
混雑率は、最混雑時間帯1時間の平均で、主に令和5年10~11月の1日または複数日の乗車人員データをもとに計算したものである。
また混雑率の目安は以下のとおりである。
・100%:座席につくか、座席の前のつり革につかまるか、ドア付近の柱に捕まることができる。
・150%:肩が触れ合わない程度。ドア付近の人が多くなる。
・180%肩が触れ合い、やや圧迫感がある。ドア付近の人は窮屈となり、体の向きを変えるのが困難となる。
・200%:体が触れ合い、相当圧迫感がある。ドア付近の人は身動きが取れない。
平成元年の首都圏(東京圏)の鉄道の平均混雑率は202%であり、その後、国土交通省が「首都圏の通勤ラッシュ混雑率を180%以下へ」と対策に乗り出した結果、平成後期は165%前後で推移した。コロナ禍で鉄道利用者数は落ち込んだが、それ以降利用者数は増加傾向にある。
23年度の主要路線・区間の混雑率の上位5位は、以下のとおりである。
1位 日暮里・舎人ライナー (171%)
2位 東京メトロ日比谷線 (162%)
3位 JR埼京線 (160%)
4位 JR中央線 (158%)
5位 東京メトロ東西線 (148%)
なぜ、都市圏で混雑率が増加?
都市圏で鉄道の混雑率が増加した主要な原因として、人口の首都圏集中が挙げられる。NHKによると人口が東京都は1417万人で、前年と比べ9万1千人増(増加率0.66%)、埼玉県は733万2千人で1千人増となっている。地方から流入と外国人の人口が増えていることが考えられている。
その他、通勤通学需要の回復、輸送力の制約・減少、都市部・沿線の再開発や新路線開業、鉄道依存度が高いことなども混雑率の増加に影響を及ぼしている。
コロナ禍でリモート勤務が多かったが、現在では首都圏における鉄道混雑率はコロナ禍前の水準に近付いている。また全国的な人口減少が続く中で首都圏における人口集中は今後も続いていくと予想されるため、混雑緩和に向けた取り組みを行うことが求められている。
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