中国のネットでは最近、「またしても」、交通警察による行き過ぎの危険な取り締まり行為が話題になり、SNSにトレンド入りした。
「またしても」といったのは、過去にも、「走るバイクを突き飛ばす」「走るバイクの前に障害物を投げ込む」「走行中のバイクめがけて思いきり警棒を叩きつけて転倒させる」といった人命を全く無視した「荒すぎる公務執行」がたびたびニュースになっていたからだ。
今回も、目を疑うような一部始終を記録した動画が、ネットに流出して、物議を醸した。
「事件」は、上海の路上で起き、当時の様子を捉えた動画のなかには、走行中の電動バイクを止めようとして、無視された交通警察が、バイク運転手の衣服をつかみ、そのまま路上に引き倒す姿があった。
そこへ、運悪く近くを走っていた自転車に乗った男性市民も「事件」に巻き込まれてともに転倒し、2人が負傷して病院に搬送された。

関連動画はネットで拡散され、「そもそも交通警察は、なぜあの電動バイクを止めたのか? 違法性がどこにある?」と、疑問が広がった。
これに対し、現地の交通当局職員は「車道で電動バイクを乗っていたから止めた」と主張。しかしこの主張には「いやいや、車道ではないぞ、あそこは電動バイクOKの道で、そのような標識もしっかりと動画に映っているぞ!」との反論の声も上がった。
ほかには、「止められた電動バイクの前には、別の電動バイクが普通に走っていったぞ」といった指摘もあり、恣意的な法執行ではないか、という疑惑が生じた。
物議をかもす今回の交通警察による暴力的な取り締まりに、世論は怒り、「理由はどうであれ、走行中のバイクの運転手に手出しする理由にはならない」「そばには自転車じゃなくて、もし車が通りかかっていたら倒れた運転手は車に轢かれていたかもしれないだろう」「故意な傷害事件だ」といった批判も噴出している。
(当時の様子)
一般市民の安全が著しく脅かされるような、こうした野蛮な法執行は、昔からしばしばニュースにもなり、世論による問題視の声も高かったが、一向に改善されていない様子だ。
各地で、交通警察によるこうした危険な取り締まり行為が頻発する背景には、財政難にあえぐ地方政府の「罰金ノルマ」があるとされており、「市民を守るべき手が、市民を地面に叩きつけている」──罰金目的で法の執行が暴走し、人命を顧みない姿勢が常態化した中国なのだ。
こんな社会では、誰が安心してハンドルを握れるだろうか。
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