トランプ米大統領が諸外国に対し関税措置を取っている中、中国共産党(中共)政権が東南アジア諸国連合(ASEAN)に接近している。
21日の参院予算委員会で、石破首相は最近の国際情勢に対する認識を問われた。
石破首相は、「最近、何がどうしたことかというべきか、中国があたかも自由貿易の旗手みたいなお話になってきている」と述べ、「注意は必要だというふうに考えている」と指摘した。
また、ベトナムが対米貿易赤字で上位に食い込んでいることを踏まえ、「ASEANとの連携は極めて重要」と強調。公明党の上田参議院議員の答弁に答えた。
近年、ASEANにおける中共政権の影響力が急速に高まっており、地域の政治、経済、安全保障の各分野において無視できない存在となっている。中共は「一帯一路」構想を通じてASEAN諸国へのインフラ投資を拡大し、経済的な結びつきを深めることで、戦略的な影響力を強めている。
経済面では、中国はすでにASEAN最大の貿易相手国であり、両者の貿易総額は年々増加。特に2022年には、ASEANと中国の貿易額は8600億ドルを超え、RCEP(地域的包括的経済連携協定)の発効によって、さらなる経済統合が進んでいる。
地政学的には、中国は南シナ海における領有権を強く主張し、人工島の建設や海上での警備活動を強化している。この姿勢はフィリピンやベトナムなどの間で緊張を引き起こしているが、一方で経済支援やインフラ投資を通じて、一部の国々との関係を安定化させているのも事実である。
安全保障面では、カンボジアやミャンマーなど一部の国々と軍事交流を進め、中国製の武器供与や軍事訓練を通じて関係を深めている。これにより、中国は地域の軍事的な影響力も拡大させており、米中対立が進む中で、ASEAN諸国は難しい外交的立場に立たされている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。