「信じた私がバカだった、相手が政府だったから信じたのに…」
――江蘇省で投資した企業の代表が、絞り出すように語った言葉だ。
中国地方政府との「安心の契約」が、1年後には「裏切り」に変わるとは、誰が予想できただろうか。
投資が水の泡に
「相手が政府だから」と安心して巨額を投じた企業が、政府から一方的に契約破棄され、理不尽な営業妨害に遭い、泣き寝入りを強いられていた。
江蘇省南京市で農業・文化・観光を融合したプロジェクトを展開すべく、江蘇楠寧溪地文化旅遊有限公司は現地政府と10年契約を結び、総額約1700万元(約3億6千万円)を投資した。
しかし、正式契約からわずか1年で、「政策の誤認」や「水防法(防洪法)違反の疑い」などを口実に政府から「契約終了」を一方的に告知された。さらには現地当局による道路封鎖、断水・電気供給停止、閉鎖の強要などの営業妨害に直面した。
被害に遭った江蘇楠寧溪地文化旅遊有限公司の責任者・郭傑氏は中国メディア「大象新聞」に対し、「政府を信じて入札したのに、これは詐欺ではないか」と怒りを露わにし、「この国で誰がまだ安心して投資できるのか」と嘆いた。
ネット上でも、「企業を育てる能力はないくせに、潰す力だけは有り余っている」といった皮肉や批判が相次いでいる。
「投資は自己責任」だが、中国で投資するということは投資相手だけでなく、「政治の風」にも運命を委ねることになる。
それにしても「政府が相手だったから信頼していた」という民間企業の信頼を踏みにじったその代償は、いずれ国家経済そのものに返ってくるだろう。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。