政府は2025年4月18日までに2回にわたって備蓄米の入札を実施し、合計21万2132トンを放出した。しかし、農水省が明かした3月17日から30日の流通状況によると、実際に卸売業者に引き渡されたのは2761トンにとどまり、全体の約1%に過ぎない。
こうした状況の中、米穀類の卸売や販売を手がける米穀店への影響も深刻化している。帝国データバンクの調査によると、2024年度(2024年4月~2025年3月)に発生した米穀店の休廃業・解散は88件にのぼり、前年度(80件)を上回って2年連続の増加となった。コロナ以降の5年間で最多となった。
背景には、コメ不足による在庫米の高値取引で一時的に売上は伸びたものの、新米の仕入れ価格が想定以上に上昇したことで収益が圧迫され、経営の安定性を損なった米穀店が相次いだ。
この点についてJA全農に取材したところ、同団体は「落札された備蓄米は、米穀卸売業者を通じて全量を市場に流通させる予定だ」とし「現在も順次、卸売業者への納品を進めている」と説明した。
流通の仕組みは、まずJA全農が玄米の状態で米穀卸売業者に販売し、卸業者がこれを精米。その後、取引先である小売業者や加工業者などに納品するという流れで進められている。販売は、米穀卸売業者からの発注に基づき行われる。実際に消費者のもとに届くには一定の時間がかかるとみられる。
また、概算金の価格について本紙が尋ねたところ、JA全農は「回答は控える」と返答した。
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