岩屋毅外務大臣は21日、アメリカの新しい駐日大使ジョージ・グラス氏と外務省で初めて会談した。両氏は、日米同盟のさらなる強化に向けて緊密に連携していくことを確認した。また、アメリカによる関税措置についても意見を交わし、岩屋外相は日本の立場を伝えた。
会談は約30分間行われ、岩屋外相は「地域の安全保障環境が非常に厳しい中、同盟をさらに強固にするため連携したい」と述べ、米国との協力の重要性を強調した。これに対しグラス大使は「さまざまな懸案や共通の関心事について協力し、日米の友情を深めたい」と応じた。両者は中国や北朝鮮をめぐる地域情勢や、日米同盟の抑止力・対応力強化についても意見を交わし、今後も緊密に協力していく方針で一致した。

また、岩屋外相は北朝鮮による日本人拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を要請し、グラス大使は全面的な支援を表明した。
一方、アメリカの関税措置をめぐっても両者は意見交換を行い、岩屋外相は日本の立場を明確に伝えた。グラス大使は先週来日し、今回の会談が日本政府閣僚との初めての面会となった。
グラス大使は2024年の米大統領選でトランプ陣営の資金調達に貢献した実業家であり、トランプ大統領との関係が近いとされる。日本政府内では、関税措置をめぐる対米交渉でグラス大使が橋渡し役となることへの期待も高まっている。
今回の会談は、日米両国が安全保障や経済問題など幅広い分野で引き続き連携を深めていく姿勢を改めて示すものとなった。

グラス新大使の対中姿勢
ジョージ・グラス新駐日米大使は、対中姿勢において非常に厳格かつ警戒的な立場を取っている。グラス氏は、着任直後の記者会見や複数の公的発言で、日米両国が中国の軍事的・経済的な台頭に対抗するため、防衛力の調整や協力を強化する必要性を強調している。特に「中国の影響力が増す中で、日米は防衛力を調整し、連携して中国に対抗する必要がある」と述べている。
また、グラス氏は第1次トランプ政権下で駐ポルトガル大使を務めた際にも、ポルトガルの通信インフラに中国製機器を導入することに強い懸念を示し、同盟国に対して中国との協力を控えるよう強く促した経歴がある。経済面でも、日本に対し対中依存度の抑制を求める可能性が指摘されている。
さらに、グラス氏は「中国の『略奪的な習慣』に対抗する」ことや、日米の防衛協力の深化、経済的な中国依存の回避などを明確に主張している。
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