価格高騰と競争激化で、2024年に中国の「煮込み料理(滷味・ルーウェイ)」業界の三大巨頭が大幅な業績悪化、閉店数も急増し、消費者離れが進んでいる。
中国の滷味業界を代表する三大巨頭、「周黒鴨(ジョウヘイヤー)」「煌上煌」「絶味食品(ジュエウェイ・フード)」が2024年、売上高と純利益が共に減少するという厳しい結果に直面した。
この3企業が2024年に閉店した店舗は1年で3600店を超えており、2025年に入っても回復の兆しは見えない。
なお、滷味(ルーウェイ)とは、中国で人気のある煮込み料理で、特に鴨肉や豚肉を香辛料とともにじっくり煮込んだ料理を指す。日本でいうところの「煮込み料理」や「おでん」に近い感覚だ。スナック感覚で食べられるよう包装を施したものも多く、夜食やおやつとして広く愛されている。
とはいえ、近年は原材料費の上昇により価格が高騰し、消費者にとって負担となっている。
3企業の収益減少の原因について、香港のフェニックスネット(鳳凰網)は、「価格の高騰に加え、今の時代は、ただでさえオンライン消費習慣の普及により、実店舗の集客力が弱まり、競争が激化している。そして、三大巨頭の商品は革新性に欠け、味や種類も似通っているため、若い消費者が求める多様性や健康などのニーズを満たすことができなくなった」と分析する。
3企業の衰退をめぐり、ネット上では「高すぎて買えない」の嘆きのほか、「そうした滷味食品には添加物が多く使われていて健康に悪い」と考える消費者の声も少なくない。
添加物が多すぎる食品や偽物の原材料(本物より断然安く、人体に有害)を使用した食品は、中国語で「科技与狠活」と呼ばれている。
特に近年では、中国の消費者も以前よりも添加剤が健康に与える影響についての認識が高まってきている。
証拠はなくても感覚的に「科技与狠活」疑惑がもたれてしまう滷味をはじめとする加工食品よりも、より自然で安全な食品を求める声が強まっている。そのような健康志向の背景も消費者離れが進む原因の一つになっている。
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