22日の東京外国為替市場で、円相場が一時1ドル=139円台まで上昇し、昨年9月以来およそ7か月ぶりの円高・ドル安水準となった。背景には、アメリカのトランプ大統領が連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長に対し、早期の利下げを改めて強く要求したことがある。トランプ大統領は21日、自身のSNSで「多くの人が予防的な利下げを求めている。エネルギーや食品の価格が下がり、実質的にインフレは存在しない」と主張し、FRBに対して即時の利下げを求めた。また、パウエル議長を「ミスター・遅すぎる人」と批判し、利下げに慎重な姿勢を繰り返し非難した。
この発言を受けて、市場ではFRBの金融政策運営の独立性が脅かされるのではないかという懸念が強まり、ドルを売り円を買う動きが一段と加速した。午後2時30分ごろには円が一時139円台後半まで値上がりし、1か月で11円以上動いた形となった。ドルは円に対してだけでなく、他の主要通貨に対しても下落し、ドル安が広がった。
市場関係者は、24日に予定されている日米財務相会談で、円安・ドル高の是正が議題となる可能性があるとの見方を示しており、この点も円高要因として意識されている。また、トランプ政権の関税政策によるアメリカ経済への悪影響や、中央銀行の独立性が損なわれることへの警戒感も、ドル売りの背景にある。
ニューヨーク株式市場でも21日、ダウ平均株価が前週末比971ドル安と大幅に下落するなど、市場の不安定さが際立った。FRBの金融政策が政治的圧力にさらされることで、経済の先行きに対する不透明感が一段と強まっている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。