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コメ輸入拡大に否定的な江藤農水相 輸出拡大政策との矛盾も浮き彫りに

2025/04/22
更新: 2025/04/23

22日、江藤拓農林水産相は米の価格高騰を受けた輸入拡大論に対し、「主食を外国に依存することが国益か」と強く否定的な姿勢を示した。一方で政府は米の輸出拡大を推進しており、政策の矛盾が浮き彫りとなっている。

2025年4月22日の閣議後記者会見で江藤拓農林水産相は、米の価格高騰を受けて一部から高まる海外からの米輸入拡大の声について、明確に否定的な持論を展開した。

江藤大臣は「コメまで、安いものがあるなら海外から買ってくるのか。国民の将来にわたる不安につながる」と述べ、安価な輸入米に依存することが日本の食料安全保障や将来の国益にとって大きなリスクになるとの認識を示した。

また、アメリカ側が日米関税交渉の中で米の輸入拡大を求めていることについても、「主食を外国に依存することが国の利益に繋がるのか、国民全体で考えていただきたい」と強調。もし大量に主食であるコメを海外に頼るようになれば、国内のコメ農家の生産意欲が減退し、国内生産量が大幅に減少する恐れがあると指摘した。

韓国産米の輸入についても「価格的にもそんなに競争力のあるものではあまりない」と述べ、現状の輸入米が国内市場に与える影響は限定的であり、消費者が選択するものだとした上で、特別視するつもりはないと語った。

さらに、米国産米の輸入拡大については「自分としては認めていない」と明言し、農家や地方経済への影響を強く懸念している姿勢を示した。

江藤大臣は、「安さだけを追い求めて主食の自給体制を崩すことが国益になるのか、国民全体で考えてほしい」と繰り返し訴え、輸入拡大による短期的な価格抑制策ではなく、中長期的な食料安全保障や国内農業の維持を重視する姿勢を鮮明にした。

米政策における「輸入否定」と「輸出拡大」の矛盾

江藤農水相は記者会見で、米の輸入拡大について「主食を外国に依存することが国の利益に繋がるのか」と強く否定的な立場を示したが、一方で日本政府は米の輸出拡大を積極的に進めている。この政策の矛盾が指摘されている。

急増する米の輸出目標

日本の米輸出は近年急増しており、2024年の輸出量は約4万6,000トンで、2020年の倍以上となっている。政府は2030年までに輸出量を35万トン、つまり2024年の約8倍に増やす目標を掲げており、これは主食用米の収穫量の5%超に相当する。

国内では米不足・高騰が続く現状

こうした輸出拡大方針が打ち出される一方で、国内では猛暑や消費増加、減反政策による生産減などが重なり、米の品薄と価格高騰が続いている。消費者からは「なぜ国内で米が足りない、値段が高いと言っているのに、海外に大量に売るのか」といった疑問や不満の声も上がっている。

政策の論理的矛盾

農水省は「食料安全保障」の観点から米の輸入拡大に否定的な姿勢を取る一方、農家の所得向上や余剰米の有効活用を理由に積極的な輸出拡大を推進している。専門家からは「国内で米が不足し価格が高騰している時期に輸出を増やすのは、食料安全保障政策として矛盾している」との指摘も出ている。

また、減反政策や備蓄米政策によって生産量を抑えつつ、輸出拡大を目指すことで、消費者は高い米価を負担し続ける構図も問題視されている。

江藤農水相が米の輸入拡大に否定的な姿勢を示す一方で、政府が米の輸出を大幅に伸ばす目標を掲げていることは、政策全体として論理的な整合性を欠いているとの批判が強まっている。国内需給と食料安全保障、農家支援のバランスをどう取るのか、今後の議論が注目される。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。