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トランプ氏 パウエル議長の解任否定 利下げ要求は継続

2025/04/23
更新: 2025/04/23

トランプ米大統領は22日、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を解任する意向はないと明言した。一方で、金利を引き下げるよう引き続き圧力をかける姿勢も示した。

トランプ氏は大統領執務室で記者団に対し「彼を解任するつもりはない。金利を引き下げるというアイデアについてもっと積極的に動いてほしい。今は利下げには良いタイミングだ」と述べた。これは数日間にわたるパウエル氏への激しい批判から一転、ややトーンを和らげた発言となった。

前日にはSNSでパウエル議長を「遅すぎる男」と批判し、利上げが経済の足かせになっていると不満を表明していた。この投稿を受けて市場は一時急落し、ダウ平均株価はほぼ1000ドル下落したが、翌日には回復した。

4月中旬にも「早く解任すべきだ」と発言し「その気になればすぐにでもFRB議長を解任できる」と語ったが、この日は態度をやや軟化させた格好だ。

FRBは現在、政策金利を4.25~4.50%に設定しており、パンデミック後の最高水準から1ポイント引き下げられている。先物市場では、FRBは5月の会合では金利を据え置く一方、6月にも利下げに踏み切るとの観測が強まっている。

トランプ氏は「インフレはすでに抑えられている」として、金利を早期に引き下げることで経済の減速を防ぐべきだと主張している。

これに対しパウエル氏は反論した。4月16日の講演で、トランプ政権による大規模な関税措置が経済に与える影響が不透明だと指摘。性急な利下げに慎重な姿勢を示した。こうした貿易措置によって物価上昇と経済成長の鈍化が生じ、物価安定と完全雇用というFRBの二つの使命を達成することが一層困難になる可能性があると警告した。

また、「FRBの独立性は法律で保証されており、大統領が正当な理由なく議長を解任することはできない」と強調した。

トランプ政権内では、この法的枠組みの見直しも議論されている。ケビン・ハセット経済顧問は、「議長の解任に関する問題は検討中」としつつ、解任が市場に与える影響への懸念にも言及している。

一方、連邦政府の独立機関に対する大統領の人事権をめぐる連邦最高裁の判断が、今後の動向に影響を与える可能性もある。裁判では、トランプ政権時代の労働委員会人事をめぐる解任問題が争点となっており、一部の法学者は「判決次第ではFRBにも影響が及ぶ」と指摘する。

一方、2026年5月に満了となるパウエル氏の任期後の人事をめぐって、政権は今秋にも後任選定の準備を始める方針だという。ベッセント財務長官は、次の議長への移行をスムーズにするために「実質的な影のFRB議長」を先に決めて、市場に今後の方針を示すのが良いと提案している。しかし一方で、現議長のパウエルは任期が終わるまで続投させるべきだとも話している。
 

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。