4月23日、トランプ政権が一部の自動車メーカーに対する関税免除を検討していることを確認した。ホワイトハウス関係者が4月23日付の大紀元(The Epoch Times)に認めた。この動きは、業界リーダーたちが供給網の混乱や消費者コストの上昇に対する懸念を繰り返し訴えてきたことを背景にしている。
関税免除の具体的な内容については公表されていないが、4月3日に発効した輸入乗用車および軽トラックへの25%関税、さらに5月3日発効予定の自動車部品への関税が対象になるとみられる。
自動車イノベーション連盟(Alliance for Automotive Innovation)のジョン・ボッゼラ会長は、この反対運動を主導してきた。以前の声明で、新たな関税がアメリカ経済全体に与える悪影響を警告。
「自動車製造はアメリカ最大の製造業」とし、関税は消費者の負担を増やすだけでなく、輸出を減少させ、国内の車両販売を低下させる可能性があると述べ「これらはすべて、国内で新たな製造業や雇用が創出される前に起こる」と指摘した。
また、自動車業界団体は4月21日、米政府に対し、多くの自動車部品サプライヤーが財務的に脆弱だと警告する書簡を送った。「関税による突然の混乱に耐えられる資金力がないサプライヤーが多い」とし、「生産停止や従業員の解雇、破産のリスクがある」と訴えた。
トランプ政権はこれまで、関税を国内生産促進や長年の不公正な貿易慣行の是正手段と位置付けてきた。海外に移った製造業を国内に戻し、産業を活性化させる狙いだと説明している。
一方、アメリカの自動車メーカーは、コスト削減のため、カナダやメキシコなど国境を越えたサプライチェーンを構築してきた。カナダ自動車製造者協会によると、1つの部品が米加国境を何度も行き来することもあるという。
自動車研究センターの分析では、関税により2025年の米自動車メーカーのコストが約1080億ドル増加すると試算されている。
多くのメーカーが関税に反対する中、全米自動車労働組合(UAW)は支持を表明。UAWのショーン・フェイン会長は3月9日、カナダやメキシコとの貿易不均衡により、過去30年で米国内の製造施設約9万か所が失われたと指摘した。
トランプ氏は4月14日、国内生産への移行には時間がかかると認め、「自動車メーカーはカナダやメキシコ製の部品を使っているが、国内生産に切り替えるには時間が必要」と述べた。
さらに4月23日、カナダからの自動車輸入に課す25%の関税をさらに引き上げる可能性を示唆。「カナダの車はいらない。アメリカで車を作りたい」と強調した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。