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ベトナムがF-16戦闘機を大量導入へ―米越防衛協力と中共への抑止力強化

2025/04/24
更新: 2025/04/24

ベトナムは、アメリカから最新鋭F-16戦闘機を大量購入する計画を進めている。中国共産党との南シナ海を巡る緊張や米越防衛協力の強化が背景にあり、地域の安全保障バランスに、大きな影響を与える動きだ。

現在、ベトナムはアメリカ製のF-16「ファイティング・ファルコン」戦闘機の大量購入を計画しており、この動きは習近平がベトナムを訪問した直後に明らかになった。中国共産党による安全保障上の脅威に対抗する措置として、ベトナムは、F-16の導入を決断した。今回の取引は、米越関係における過去最大規模の防衛契約となる見通しである。

アメリカの防衛専門メディア「19FortyFive」や関係者の証言によれば、ベトナムは、アメリカと少なくとも24機のF-16戦闘機の購入で合意に至った。2016年にアメリカがベトナムへの武器禁輸を解除して以降、これほど大規模な軍事協力は初めてのことである。

この背景には、バイデン前大統領が2023年にベトナムを訪問し、両国関係を「包括的戦略的パートナーシップ」へ格上げしたという経緯があり、この訪問を契機として、両国はF-16導入に向けた具体的な交渉を本格化させた。

現在ベトナム空軍は、主にロシア製のSu-27やSu-30MK2V戦闘機を運用しているが、F-16の導入によって、アジア太平洋地域で同機を保有する5番目の国となる。領有権問題を抱える周辺諸国も軍備の近代化を急いでおり、ベトナムの今回の決定もその流れに沿ったものである。

経済面において、ベトナムは、中国を最大の貿易相手国、アメリカを最大の輸出相手国とし、両国とのバランスを慎重に保ってきた。2023年の対米輸出額は1366億ドル、対中輸入額は1440億ドルに達し、中国から原材料を輸入し、アメリカ向けに製品を輸出する「生産拠点」としての役割を果たしてきた。

しかし、1974年の西沙諸島(パラセル諸島)を巡る海上衝突以降、ベトナムと中国の間では領土問題が絶えない。2024年には、中国が北部湾の領海基線を一方的に宣言し、西沙諸島周辺では、ベトナム漁民への攻撃も確認されるなど、両国間の緊張は継続している。

台湾やフィリピンもアメリカからF-16の導入を進めており、台湾は、2026年までに66機の新型F-16を受領予定であり、フィリピンも20機の購入契約を締結した。これらの国々は、いずれも南シナ海を巡って、中国と対立しており、アメリカ製戦闘機の導入は、中国への抑止力強化を意図した動きである。

以上のように、ベトナムのF-16導入計画は、中国との緊張関係や米中間での戦略的バランス、さらには地域の安全保障環境の変化を象徴する重要な動きである。

新唐人