中国の若者が反共スローガンを掲げた後、音信不通になり、逮捕されていたことが判明した。
4月15日に中国四川省成都市の繁華街の陸橋に3つの反中国共産党(中共)スローガンを広げた青年・梅世林(27歳)氏が逮捕されていたことがわかった。
梅氏が命がけで行ったこの行動は、SNS上で瞬く間に拡散され、国内外から注目を浴びた。だがその直後、梅氏は消息を絶ち、2週間近く音信不通となっている。
複数の情報源によれば、梅氏は現在、成都市で刑事拘留されている。当局は梅氏と海外との関係性を捜査中であり、もし「外国勢力との結託」が証明されれば、国家安全部門へ移送される可能性もあるとされる。
梅氏がこうした行動を起こした背景には、労働問題をめぐって不当な扱いを受けて政府部門に訴えたが取り合ってもらえなかったことがある。
梅氏は事前に行動の計画を1年以上温め、当日の様子を記録した映像や身分証を海外の活動家に託していた。

ヨーロッパに亡命している元内モンゴル政府法律顧問室の主任、杜文氏はエポックタイムズの取材に対し、梅氏は、自分にあてたメールのなかで「自分はもう中国人として生きることに耐えられない。たとえ身を焦がそうとも、叫びたいのだ」と訴えたと明かした。
杜氏は梅氏に対し、いますぐ中国を離れるよう勧めたが、拒まれ、梅氏は中国に留まった。

時事評論家の撣封塵(たん・ほうじん)氏は28日のエポックタイムズへの大紀元寄稿のなかでこう述べている。
「『私は(あえて)中国に残る!』という梅世林の一言に、中国の一般市民は士気を高めることだろう。だが、その言葉は、習近平や中共にとっては震え上がらせるものだ」
梅青年は国外脱出ではなく、あえて逮捕・拷問・ひいては命を落とすかもしれない、いやそのリスクが極めて高い『国内残留』を選んだ。
外に出れば命は守れるかもしれない。だが、中国の市民にその言葉は届かない。あえて危険を承知でこの地にとどまる――その決断にこそ、真の勇気がある。その勇気は、やがて多くの人の心を震わせることだろう。
体制が最も恐れるのは、国外に逃げた批判者ではない。命を懸けて沈黙を破る者、その覚悟の重さだ。

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