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中国市場の逆風下 野村中国合弁 新戦略で反転狙う

2025/04/30
更新: 2025/04/30

野村ホールディングス(HD)の中国合弁証券会社野村東方国際証券は、2024年12月期の純損失が1億2870万元となり、前年の1億8450万元から約30%縮小した。2019年末の設立以来、赤字が続いているが、損失縮小の傾向が続いている。

同社は当初、中国の急増する富裕層を対象としたウェルスマネジメント(資産運用支援)事業の拡大を目指していた。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックや中国経済の減速により計画は頓挫した。現在は、リサーチやトレーディングを中心とした事業モデルへの転換を加速させている。

この戦略転換に伴い、野村HDは過去2年間でウェルスマネジメント部門の人員を約3分の2削減。自社トレーディングによる安定的な収益基盤の構築に注力している。さらに、市場分析やデータ提供を強化し、機関投資家向けのリサーチサービスを拡充する動きも見られる。

背景には、中国経済の構造的な課題がある。不動産市場の低迷、若年層の高失業率、消費の伸び悩みにより、個人資産運用の需要が予想を下回った。2024年の中国GDP成長率は政府目標の5%を下回る4.7%(推定)にとどまり、成長鈍化が鮮明だ。これを受け、野村東方国際証券は市場環境に適応した収益モデルの確立を迫られている。

野村HDは、中国市場の長期的な成長可能性を見据えつつ、野村東方国際証券の黒字化を2026年までに実現する目標を掲げている。競合他社である外資系金融機関(ゴールドマン・サックスやJPモルガンなど)も同様に中国事業の縮小や再編を進める中、野村の事業転換の成否が注目される。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。