刀を奪われたサムライは、徒手空拳で明治維新の世に放りだされたのだ。日本政府の富国強兵と西洋文化の流入は、伝統を徐々に破壊しつつ、一方、その伝統に隠されていた秘儀を世に出すことになったとは皮肉である。
それらの背後にはまだ、世間に知られずにひっそり伝わってきた秘儀、武術の奥の手があった。それらが、戦後から今まで、徐々に世間に出て、その存在と秘儀の一部を世に知らしめるようになった。その一部が今回取材した大東流柔術光道である。
「武士道の魂は(孔子の)『論語』にあり、経営の理念も『論語』から見出せます。『論語』を熟読し、中の意味をじっくり味わえば、多くの人生における智慧を悟ることができるでしょう。したがって、私の生涯は孔子の教えに従い、『論語』を金科玉条とし、常にそばに置いています」――日本経済の父・渋沢栄一氏
「桜は咲き続けているが、日本の武士道精神はすでに凋落してしまった。第二世界大戦後、日本は魂のない国、経済的な機能だけの存在に堕落してしまったのだ。物欲だけにコントロールされ
2010/10/29