思い出って何だろうと考えていると、もう60年以上になる小学生時代の出来事がいろいろと浮かんできた。当時、テレビのある家は少なく、そのテレビ中継を見るために、近くの幼稚園に皆で集まったことが記憶にある。その時から、私はテレビに魅せられてしまったらしい。
高1の2学期に転校をした。登校初日の不安そうな私に声をかけてくれたのがK子さん。その時の彼女の優しい笑顔が今でもはっきりと目に浮かぶ。学校が彼女の実家に近かったので、ご両親にもお世話になった。卒業後、彼女不在の時にも、彼女のお母さんを訪ねていろいろ励ましてもらったこともあった。彼女は高校時代に石浜みかる著『こんにちはイスラエル』(1965年)に感銘を受け、短大卒業後にキブツに単身留学。今改めて考えると彼女の勇気と決断には驚きではあるが、当時は私も好き勝手に生きていたので、彼女のイスラエル行も自然に受け入れていた。
3年前の3月、ドイツの義兄(次姉の夫)から電話がかかってきた。そんなことは初めてだったので驚いたが、自分の80歳のお誕生日のお祝いをするので、家族みんなで来てほしい。航空券を送るから、ぜひとのことだった。突然だったのと、コロナのこともあり、当然ながらその招待を受けることはできなかった。そして、彼(ライナー)はその年の10月に亡くなった。
とっさに「私は“忘れられた女”だ」との言葉が出てきて、皆で笑ったが、この“忘れられた女”という言葉は、昔読んだ、マリーローランサンの詩の中の一説の引用である。
昨年(2022年)に21歳で亡くなったシェリー爺の妹分猫にクルミ(当年18歳)がいます。生後2日目に野良の親からはぐれ、さまよっているところを2匹のカラスに見つかり、まさに襲撃される寸前、たまたま台所の窓から見ていた近所の人に救出された強運の持ち主です。縁あって我が家にやってきました。