中国、タジキスタンに軍事施設 「3年前から駐屯」=米メディア

2019/02/25
更新: 2019/02/25

米紙ワシントン・ポスト18日、中国当局が中央アジアに位置するタジキスタンで、数年前に密かに軍地基地を設置したと報道した。同軍事施設は、タジキスタン南部と隣国アフガニスタンの国境境界線という戦略的要地にあるという。

同紙記者は現地取材を通じて、中国軍が少なくとも3年前から、タジキスタン国内に駐在していたことを確認した。中国軍の駐屯地は、タジキスタンと中国西部との国境地帯からも近いという。衛星写真では、同基地の20棟余りの建築物や訓練場、見張り塔が映し出されている。

同紙記者がタジキスタンのムルガブ村の市場で中国軍兵士と遭遇した。兵士らは、3年前からここに駐在していると話した。兵士らはワシントン・ポストの記者に対して、市場で会ったことを報道しないようにと求めた。

タジキスタンは中国当局が主導する巨大経済圏構想「一帯一路」の重要沿線国。タジキスタン金融省の2017年のデータでは、近年中国当局が同国に巨額の融資をしたため、2016年、対中債務は同国の対外債務の半分以上を占めている。2006年には「これはゼロだった」という。

ロシアと中央アジア各国は同報道に強い関心を寄せた。

キルギス・メディア「中央アジアニュース・サービス(Центральноазиатская новостная служба)」は20日、中国軍の軍地基地はタジキスタンのワハーン回廊の北端に位置し、タジキスタン、中国、アフガニスタン3カ国の国境が集まる戦略的要地にあると指摘した。アフガニスタン側には軍事施設を設けていないため、中国軍の駐屯は、明白にタジキスタンおよび新疆ウイグル自治区を狙っているとの見方を示した。

中国当局とタジキスタン政府は、中国軍の軍事基地について否定している。

ワシントン・ポストによると、タジキスタン外務省は国内に対して、中国軍の施設は「存在しない」「今後建設する予定もない」と強調したという。

タジキスタンには、ロシア軍基地がある。2004年10月17日、ロシア軍はタジキスタンに、国外最大規模の陸軍基地を設立した。7000人の兵士が駐屯している。2012年10月6日、ロシアとタジキスタン両政府は、同軍事基地の使用期間をさらに30年間延長することで合意した。

ロシアの専門家は、米国を始めとする北大西洋条約機構(NATO)軍がアフガニスタンから撤退するに伴い、ロシアと中国当局は同地域における軍事力強化を図っているとの見方を示した。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)20日付によれば、ロシア政治評論家のビャチェスラフ・マリツェフ氏は、中国当局とロシアがタジキスタンに軍事基地を設置したのは各自の利益を守るためだと指摘した。

「中国当局は、(中央アジアにおける石油や天然ガス)パイプラインを守りたいほか、タジキスタンから一部の領土をさらに割譲してもらおうと企んでいる」

中国とタジキスタンは130年間にわたり領土問題で争っていた。中国政府系メディアの報道によれば、2010年4月27日両国が締結した「国境画定協定書」に基づき、タジキスタンは1158平方キロメートルの領土を中国に帰属させた。これは中国側が領有権を主張する領土の一部に過ぎないという。

RFAは、中国当局が密かにタジキスタンまで軍事的影響力を拡大した背景には、中央アジアに強い影響力を持つロシアとの正面衝突を回避しながら、ロシアの「レッドライン」を探り、最終的にロシアに取って代わり、中央アジアにおける利益を独り占めにする狙いがあるとの見方を示した。

(翻訳編集・張哲)