欧陽菲菲の姪、中国当局からバッシング 神韻公演鑑賞が原因か

2019/03/25
更新: 2019/03/25

中国当局と政府系メディアはこのほど、「台湾独立運動を支持している」として台湾チェロ奏者で女優の欧陽娜娜(オーヤン・ナナ、18)への締め付けを強めている。台湾政界は、中国当局による10代の女性芸能人への政治圧力に反発した。

欧陽娜娜は、台湾を代表する国民歌手で、日本でも長年活動を行った欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)の姪。父親の欧陽龍氏は、国民党に所属する政治家で、台北市議会議員を経て、現在国民党のスポークスマンを務めている。欧陽娜娜自身は、2016年に音楽アルバム「Nana 15」で日本デビューを果たした。

「網軍」と呼ばれる中国インターネット上の活動家らは、欧陽龍氏が以前、「反中的な発言をした」として批判した。中国大陸で芸能活動を行っている娘の欧陽娜娜も巻き込まれた。

仏ファッション誌「Marie Claire」中国語版はこのほど、欧陽娜娜を含む中国で注目されている若手女優4人に関する記事を掲載した。中国テレビ放送局「北京電視台」は21日の番組で、同記事を紹介した際、欧陽娜娜の名前を読み上げず、欧陽の写真にモザイク処理を施した。

批判を受け21日、欧陽娜娜は中国版ツイッター「微博」で、「私は中国人としての誇りを持っています」との声明を発表した。欧陽娜娜の個人事務所も同日、「欧陽は中国人であると自覚しており、一つの中国という原則を支持している」との声明を公開した。

中国国務院邪教問題防止および処理弁公室は3月22日、微博で、2010年に神韻公演を鑑賞した欧陽氏一家を批判した。

2010年3月24日、当時9歳だった欧陽娜娜は母親らとともに、台北で開催された神韻芸術団の公演を鑑賞した。米ニューヨークに拠点を置く同芸術団は2006年設立され、中国伝統文化の復興を掲げている。欧陽娜娜の母親で台湾の大物芸能人・傅娟氏は公演鑑賞後、中国当局に弾圧されている法輪功学習者が迫害の下でも自らの信仰を続けるという演目を称賛し、その発言が当時、報道された。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)22日付によると、欧陽龍氏は台湾メディアに対して、「まだ10代の子どもを政治問題に巻き込むのは良くない」と批判した。また、欧陽龍氏は台湾と中国の関係について、「国民党は一貫して、『九二共識、一中各表』の方針を堅持している」と強調した。「九二共識、一中各表」は、1992年中国当局と台湾の間で達成した合意。合意では、中国当局と台湾は一つの中国という原則を堅持し、その解釈権を中台双方がぞれぞれ留保すると決めた。

台湾政治大学国家発展研究所の李酉潭所長は大紀元の取材に対して、文化大革命など各政治運動で中国伝統文化を破壊した中国当局は、「伝統文化の復興を恐れている」と指摘した。

「欧陽娜娜への締め付けを通じて、中国当局は台湾国民に対して、『中国でビジネスをしたいならば、中国当局の言いなりになりなさい』と警告したいのだろう」

台湾立法院(国会に相当)の立法委員(議員に相当)王定宇氏(民進党)は23日、「中国当局の圧力で、欧陽は『中国人である』との声明を出さざるを得なかった」と欧陽娜娜は中国共産党専制体制の被害者だと述べた。

立法委員の鄭宝清氏(民進党)は、「伝統文化を広める神韻公演は世界各国の人々に評価されている。中国当局のやり方は、人々の思想・言論の自由をはく奪する専制政治の本性を改めて浮き彫りにした。台湾人にも、一日も早くその本性を認識するよう望んでいる」と言った。

立法委員の柯志恩氏(国民党)は、「中国本土で活動する台湾人の芸能人は常に台中関係について、中国当局の思うままに態度を示すことを要求されている。本当に大変なことだ」と批判した。

RFAによれば、台湾の蘇貞昌・行政院長(首相に相当)は22日、「台湾の貴重な自由をいかに維持していくかという重要さを教えられた」と述べた。

近年、中国政府に台湾独立派のレッテルを貼られ、バッシングを受けた芸能人は少なくない。韓国のガールズグループTWICEのメンバーで台湾出身の周子瑜(ツウィ)は2015年11月、韓国のテレビ番組で中華民国の国旗「青天白日旗」を掲げたことで、「台湾独立運動を支持している」と中国当局に強く批判された。2016年1月14日、彼女が所属する芸能事務所、JYPエンターテインメントは彼女の謝罪動画を公開した。

(翻訳編集・張哲)

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