米中貿易戦、中国当局「大規模な失業」に警戒 

2019/05/15
更新: 2019/05/15

中国当局は、米中貿易戦の激化による国内失業者の急増を警戒している。李克強首相は13日、北京市で開かれた雇用問題に関する会議で、「大規模な失業」を回避するよう各地方政府に明確に指示した。

トランプ米政権は10日、2000億ドル相当の中国製品への制裁関税を10%から25%に引き上げた。これに対して、13日、中国当局は、600億ドル相当の米国製品に対して最大25%の関税を課すと発表した。トランプ米政権は同日、新たに3250億ドル相当の中国製品を対象に、最大25%の関税を上乗せする手続きを始めたと公表した。

李克強首相は同日、「全国就職起業工作および大学卒業生の就職起業工作テレビ電話会議」において、「今年の就職圧力は依然として大きい。特に大学生の卒業者数が過去最多となるため、各地と各関係部門は重視しなければならない」「大規模な失業を起させないというレッドラインを守り抜かなけばならない」と述べた。

農民工の就職問題について、李首相は「労働力を必要とする地方政府は、失業者による大規模な帰郷を回避するために、できれば失業者を現地に留めるべきだ。労働力を提供する地方政府は、帰郷した農民工に対して起業の支援をしなければならない」と発言した。

中国問題評論家の文小剛氏は大紀元に対して、「制裁関税を強化した米政府の圧力を前に、中国当局は恐怖を感じている」と指摘した。中国当局も、米政府の関税引き上げで、今後中国の輸出低迷、輸出関連企業の倒産、外資企業の撤退、失業人口の急拡大を予測している。「社会不安による中国共産党政権崩壊のシナリオが現実味を帯びてきた」

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)10日付は、中国独立系の経済学者の統計として、「中国の輸出業で働く人の数は約1億人だが、その家族と輸出業関連サービス業の従業員もこうりょすると、貿易戦で中国輸出業が打撃を受けた場合、4億人の人が影響を受ける」との見方を示した。

RFA14日付は、中国広東省の企業で勤務する市民に取材した。市民によれば、中国の重要経済センターである同省珠江デルタでは、「米の関税が25%であるのに対して、民間企業の利潤率は約15%しかない」ため、失業者が増えていると明らかにした。

(翻訳編集・張哲)