中国の王岐山・国家副主席は1日、北京で訪中したメキシコのエブラルド外相と会談した際、自身は習近平国家主席のために「礼儀的な外交」だけを担っていると述べた。専門家らは、現在、中国最高指導部において王岐山氏はかつてのような大きな実権を握っておらず、冷遇されているとの見方を示した。
エブラルド外相は6月30日から7月2日までの日程で中国を訪問した。
香港メディア「フェニックステレビ(鳳凰衛視)」によると、王副主席はエブラルド外相に対して、「今(習近平)主席のために、一部の礼儀的な外交を補佐しているだけだ」と述べた。
香港紙「明報」は評論記事で、王岐山氏の発言から、同氏が現在共産党指導部において、大きな発言権や決定権を持っていない現状を浮き彫りにしたと分析した。
王岐山氏は2008年3月に国務院副総理に選出され、貿易、金融、市場管理などを担当した。同年に世界金融危機が発生した後、経済学者でもある王岐山氏は、国内経済の急激な悪化を回避するために辣腕を振るった。2013年以降の習近平政権で、「チャイナ・セブン」の1人に昇任した王岐山氏は党中央規律委員会のトップとして、反腐敗運動を指揮し、江沢民派の高官を次々と失脚させた。習近平氏の盟友と称された。2017年10月の党大会で、68歳を定年とする慣例の下で、王氏は中央政治局常務委員を退任したが、18年3月の全国人民代表大会で国家副主席に選ばれた。
昨年の米中貿易戦が始まって以降、一部のメディアは、米政界にパイプを持つ王岐山氏が中国交渉代表団の責任者に起用されると推測したが、実際には劉鶴・副首相が責任者となった。
大紀元コメンテーターの李林一氏は6月11日掲載した評論記事で、中国国内の情勢を見れば、江沢民派の王滬寧・中央政治局常務委員が実質的に米中貿易戦への対応を主管しており、金融のエキスパートで米ウォール・ストリートにパイプを持つ王岐山氏、朱鎔基・元首相派の高官は完全に仲間外れにされている現状だと指摘した。
習近平国家主席の「一強体制」「党の核心」としての地位を確立させた立役者である、王滬寧氏がこれまで、「自立更生」「新たな長征」という毛沢東思想で、プロパガンダを展開し、貿易戦の長期化を主導してきている。
(翻訳編集・張哲)
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