米テスラの元中国人技術者「自動運転」機密を持ち去り 中国企業に入社

2019/07/12
更新: 2019/07/12

米技術企業テスラ(Tesla)で働いていた中国人技術者が、自動運転に関する機密窃盗の疑いで起訴された事案で、この従業員は、技術のソースコードを個人のデバイスに保存したことを認めた。同氏は現在、中国の小鵬汽車に入社している。

テスラは2019年3月、営業秘密を盗んだとして、中国出身の技術者・曹光植氏に対して民事訴訟を起こした。7月11日に発表された法廷文書によると、テスラの自動運転技術開発チームの一員だった曹氏はこのほど、「2018年に彼の個人的なiCloudアカウントにテスラの機密情報であるソースコードを保存した」と認めたという。

テスラの訴状によると、中国の新興自動車メーカー・小鹏汽車に、テスラの情報が渡ったという。曹氏の法廷代理人と小鹏汽車は、いかなる違法性もないとして、テスラ側の訴えを否定している。

小鹏汽車に渡ったテスラの技術は、企業の中核となる自動運転支援システム。このソースコードにアクセスできるのは、社内でも40人しかいないという。

法廷文書によると、曹氏はテスラに2017年4月に入社した。2018年1月に小鹏汽車の申し出を受け、同年末には中国で、小鹏汽車への入社に関する正式な承諾を受けている。小鹏汽車への入社とテスラ在籍時期は重なっており、曹氏は引き続き、テスラの内部ネットワークにアクセスを続けた。2019年1月に曹氏はテスラを退社したが、それまで小鹏汽車への接触を誰にも明かさなかった。

曹氏は中国で小鹏汽車に入社してすぐに「基幹技術チームリーダー」に抜擢され、自動運転技術の開発を担当した。

テスラによると、曹氏は在籍中、個人のiCouldに、テスラの自動運転やその支援技術のソースコードをアップロードした。

FBIは2019年1月にも、アップル(Apple)元従業員で中国系Jizhong Chen氏を、自動運転技術を盗んだとして起訴した。小鹏汽車が、このChen氏に役職を持ちかけたと報じられたが、同社はこれを否定している。

小鹏汽車は中国の新興電気自動車(EV)メーカーで、「中国のテスラ」とも呼ばれ、近年注目を浴びている。米テスラは今年1月、上海で大規模な新工場の建設を開始、両社の競争激化は必至だ。

(翻訳編集・佐渡道世)