RCEPでの韓国の発言、世耕経産相が「国際的な信頼失う」と苦言 輸出管理は国内措置を強調

2019/07/30
更新: 2019/07/30

世耕経済産業相は29日、閣僚会議後の会見で、中国で開催中の自由貿易圏構想「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」の事務級の会合で、韓国が日本の輸出管理措置について発言し、撤回の要求があったと明らかにした。日本の外交官は、国内の輸出管理措置であるとして反論したという。世耕大臣は、RCEPに無関係なテーマを持ち出すことで、韓国側は「国際的な信頼を失うのではないか」と苦言を呈した。

RCEPでは日中韓、インド、豪州など16カ国が参加している。世耕経済産業相は同日夜、ツイッターでもRCEPに関して言及した。交渉会合議長国のインドネシアからは「RCEPに集中すべき」との注意があったと明かした。

世耕経済産業相は、8月3日に北京で開かれるRCEP閣僚会合に出席する。同氏は、北京で韓国閣僚と会談予定はなく、輸出管理強化があらためて国内措置であり、韓国との協議事項ではないと強調した。

経済産業省は7月4日、軍事転用が容易とされる「リスト規制品」の輸出管理体制の見直しを実施した。人工知能(AI)やスマートフォンの有機ELディスプレイ、次世代通信技術、半導体製造で不可欠な先端材料の計3品目で、個別の出荷ごとに国の許可申請を求める。

これは、輸出管理のずさんな韓国に対する輸出管理の強化措置とみられている。日本メディアによると、日本当局は、日本の先端素材を輸入した韓国が第三国を経由して、北朝鮮やイラン、中国、マレーシアなどへの横流しを疑っている。韓国の朝鮮日報は5月17日、ミサイルの弾頭加工やウラン濃縮装置など、大量破壊兵器に転用可能な戦略物資の違法輸出が急増していると報じた。同様の内容を7月10日、日本のフジニュースネットワーク(FNN)も放送した。

輸出管理の強化について、経済産業省は、日韓間の信頼関係が著しく損なわれたこと、そして韓国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生した事の2点を挙げている。

日刊工業新聞は7月27日、韓国に対する日本の輸出管理措置は、技術覇権を争う米中代理戦争に遠因があると伝えた。同紙によると、現在、最先端半導体を生産できるのは韓国・サムスン電子と台湾・台湾積体電路製造(TSMC)の2社。半導体業界関係筋の話として、「TSMCは米国側だが、サムスンは中国に近づきつつあった」という。同紙によると、日本は、同盟国である米国との安全保障上の協力の観点から、ファーウェイなど中国情報通信企業と協力する韓国半導体メーカーへの材料の供給の制限に動いた可能性があるという。

日本は7月1日、「リスト規制品」入りしていない先端素材の輸出についても、輸出許可の申請が免除される外為法の優遇制度「ホワイト国」から韓国を除外することも合わせて発表した。日本のホワイト国締結国は欧州の先進国および北米、豪州など27カ国だが、アジアでは韓国のみが締結国だった。中国や台湾、東南アジア諸国とは締結していない。

世耕経済産業相は7月29日、輸出管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正について「輸出管理を適切に実施するうえで必要。粛々と作業を進める」と述べた。

(編集・佐渡道世)