「サウスパーク」最新話、中国の言論統制や臓器狩りを描写 当局に皮肉の謝罪

2019/10/09
更新: 2019/10/09

米大人向けアニメ「サウスパーク」の最新エピソードが中国当局による強制臓器摘出、強制収容所での殺人、言論統制、習近平国家主席を思い浮べるクマのプーさん、香港の抗議活動などの内容に触れたため、中国当局は7日、同アニメに関するネット情報を徹底的に封じ込め、放送禁止にした。

「サウスパーク」は政治や社会問題を風刺するコメディアニメで高い人気を博している。今までにエミー賞5回を受賞した。

中国共産党政権設立70周年に当たる10月1日、「サウスパーク」シーズン23の第2話が放送された。同エピソードは、「中国のバンド(Band in China)」というタイトルが付けられた。ひと儲けをしようする主人公スタン(Stan)と父のランディ(Randy)が中国に入り、さまざまな体験した出来事を通じて、中国当局にとって都合の悪い内容を次々と取り上げた。

エピソードのなかで、ランディは中国に到着した後、大麻所持で中国当局により強制労働教養所に送られた。そこでランディは、中国の警官が囚人らを虐待し銃殺したのを目撃した。そしてディズニーのキャラクター、「くまのプーさん」にも出会った。「くまのプーさん」に中国当局に拘束された理由を訪ねると、プーさんは「ただ習近平国家主席に似ているという理由で牢獄に入れられた」と答えた。

取り調べで拷問に遭うランディは、中国の警官に「あなたたちは国民の命を軽く見て、個人の自由を無視している。誠実でもなければ、正義もない。こんな中国をどうして国家と呼べるのか」と激怒した。

一方、中国でバンドを組んだスタンは、有名プロデューサーの目にとまり、自伝映画を作成するよう勧められた。しかし、スタンが書いた脚本に「強制臓器摘出」や「ダライ・ラマ」などの内容があったため、映画製作側の責任者に複数回書き直すように命じられた。プロデューサーは「中国市場で金儲けしたいなら、当局の言論統制に協力しなければならない」とスタンを諭した。

さらに、後半には中国建国70周年の軍事パレードの映像や強制労働キャンプ、警官と対峙する黒い服の抗議者(香港デモを意味する)、強制労働など、中国の神経を逆なでする場面を次々と流した。

「中国のバンド」は、ディズニーの人気キャラクターであるミッキーマウスを通じて、中国当局のご機嫌をうかがう米ハリウッド映画界が自己検閲を行っている現状を批判した。

同エピソードに神経を尖らせた中国当局は、ポータルサイトの「百度(バイドゥ)」、中国版ツイッター「微博」やネット掲示板「貼吧」、国内ネット上すべてのサイトに対して、「サウスパーク」に関するすべての投稿、検索キーワードを情報統制の対象にした。また、中国動画共有サイト「bilibili」などでの映像配信を禁止した。

中国当局の締め出し措置に対して、サウスパークの製作者であるトレイ・パーカー氏とマット・ストーン氏は7日、サウスパークの公式ツイッターアカウントを通じて、ブラックジョークを交じえながら、「正式な謝罪」声明を出した。

声明は「NBAのように、われわれは中国当局がわれわれの家と心を検閲するのを歓迎します。われわれは自由と民主主義よりも、お金をもっと愛しています。習主席はくまのプーさんに全く似ていません。水曜日10時、われわれの第300話を見てください。今秋、モロコシの収穫がありますように。中国当局、これでいいだろう?」とした。

モロコシは英語で「sorghum」という。臓器を指す「organ」の発音に近い。「モロコシの収穫」は中国当局による法輪功学習者らを対象にする「臓器狩り」を指している。

一部の中国人ネットユーザーは「サウスパークの『中国のバンド(Band in China)』は本当に『中国で禁止された(Banned in China)』」、「一つの言葉に2つの意味があったんだね」とのコメントを書き込んだ。

「サウスパーク」は現在、ツイッター上で同エピソードを公開している。

 

(翻訳編集・張哲)