香港民主団体代表を暴徒が襲撃 頭部負傷

2019/10/17
更新: 2019/10/17

10月16日午後7時半ごろ、香港民主派団体・香港民間人権陣線(民間人陣、CHRF)の代表・岑子杰(31、Jimmy Sham)氏が、香港旺角で4~5人の男たちに襲撃された。頭部や腕を負傷した岑氏は病院に搬送され、入院している。

民間人陣は声明で「この事件は、法的権利に保護された行使を脅迫し、抑制するための政治テロと関連している」と犯行を非難した。

病院で報道陣の取材に答えた民間人陣の副代表・陳浩桓(Fige Chang)氏によると、民間人陣による19日に予定したデモ行進についての会議に参加するため出かけた岑氏は、ハンマーを持った男たちに急襲されたという。「近くにいた人が(岑氏を)助けようとしたが、犯人はナイフで脅した」という。

陳氏によると、岑氏は救急車で搬送されるなか、「自由と人権のために立ち向かう私たちを止められると思うな」と述べたという。陳氏は、19日の警察当局へ申請しているデモ行進は予定通り行うとした。

急襲後の写真がインターネット上に出回っている。頭部や腕から血を流して、白い車両のそばに倒れている岑氏の様子が映っている。

 

岑氏は病院内で、自身のSNSに、医師の話では現在のところ脳や骨には損傷はみられないが、入院する必要があると診断されていると書いた。

岑氏が入院する広華病院には、数人の民主派の立法会(香港議会に相当)議員が集まった。民主派の24議員は、早急に共同声明を発表し、市民の命を狙う残虐行為を強く非難した。議員たちは声明のなかで、暴力による圧力で異論を排除し、白いテロ(政府や警察といった公権による弾圧)を作り出しているとした。

岑氏が襲撃されたのはこれが初めてではない。8月29日、バットと刃物を持った覆面の2人組に襲われた。岑氏は友人に守られたため、負傷しなかったという。香港議員・陳淑莊(Tanya Chan)氏は病院前でメディアに対し、政府に8月の襲撃事件の調査を求めているが、容疑者はまだ逮捕されていないという。

民間人陣は今夏、中国本土への容疑者引き渡し条例改正案に反対する大きな抗議運動をいくつか呼び掛けた。6月12日の抗議活動で、参加者は200万人に達したと推計される。

米下院議会では15日、香港の基本的自由と自治が損なわれた場合、その当局者に制裁を加える「香港人権・民主主義法案」が通過した。採決前、下院のペロシ議長は演説し、「上下両院の民主党ならびに共和党議員は香港の人々と団結して立ち上がる」と述べた。また、前米国国連大使ニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)氏は「中国は、米国が香港にどう対応するかを邪魔することはできない」とし、同法の下院通過を支持した。

香港政府の報道官は米下院の動きについて「遺憾の意」を表明し、内政干渉しないようコメントした。中国政府は、もし香港法案が可決されれば、報復制裁を取る可能性があるとした。

上院でも今後、下院と若干内容を異にする別個の法案が採決にかけられる見通しだ。ブルームバーグによると、上院共和党指導部ロイ・ブラント(Roy Blunt)議員は、香港法案の採決日程はまだ議論されていないとした。いっぽう、米上院外交委員会ジェームス・リッシュ(James Risch)氏は「できるだけ迅速に推し進めたい」と語っているという。

(翻訳編集・佐渡道世)