豪政府、新たな機関を設置 外国勢力の干渉防止を強化 

2019/12/04
更新: 2019/12/04

豪州治安情報局(ASIO)は12月2日、外国勢力の干渉抑制とスパイ対策を強化し、8800万豪ドル(約65億円)を投じて新たな専用部隊を設置することを発表した。11月、中国共産党の元スパイが豪メディアに対して、中国の対台湾、香港、豪州の情報工作を詳細に語り、豪社会に波紋を呼んだ。

この特別な部隊は、内務省内にある外国干渉対策室の権限を拡大して「国益に害を及ぼそうとする」勢力を抑制する。ASIO上級高官が率いて、検察、警察などあらゆる安全保障機関の職員が加わる。

スコット・モリソン豪首相は、この部隊設置について「外国勢力の干渉の脅威は増している。(他組織間の)協力により、攻撃の中断や対象者の起訴ができるようにする」と述べた。

この部隊の設置は、中国共産党のスパイだったと名乗り、その工作手段と情報をASIOに提供したという、王立強氏の報道の1週間後だ。

豪州では中国のスパイ活動、政党政策の誘導、大学や政府機関への複数のサイバー攻撃などにより、国家安全保障に対する懸念が高まっている。ASIO元長官のダンカン・ルイス氏は退任直前、外国の干渉はテロよりも大きな脅威だと語った。

現地紙「オーストラリアン」が入手したという機密の移民情報によると、入国の際に注意人物リストに入る危険人物は急増し、過去1年間で1万1000人増加した。中国人だけで見ると、5万8724人いる。マレーシア人の数も増えているという。

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が最近発表した「中国国防大学の追跡報告」には、オーストラリア国立大学は、中国工業と信息化部直属の7大学のうち、5大学と提携関係がある。

また、報告でリスト入りする中国国内の92の大学は、人民解放軍の高度な軍事戦略情報、ミサイル技術、その他兵器や装備品の機密情報を開発しているという。さらに、別の160の中国の大学にもスパイ工作、サイバー攻撃、中国防衛産業の関与が確認できるとした。

報告書の主要な著者であるアレックス・ジョスキ(Alex Joske)氏は、国内の軍事科学研究の発展目的の完全性を保障するために、中国共産党人民解放軍と中国の大学間の技術協力を厳重に防ぐべきであると主張している。

また、ジョスキ氏は、豪州政府と大学はASPIの報告を参考にして、中国の大学との共同プロジェクト締結や留学生や研究者へのビザ発給を行う前に、中国共産党と軍による監視、人権侵害への加担について思慮するべきだと提言している。

(翻訳編集・佐渡道世)