<新型肺炎>江西省医師、レインコート着用で治療 物資不足 外国支援拒否

2020/01/31
更新: 2020/01/31

新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で、医療物資が不足しているにも関わらず、中国当局が外国政府や団体の支援の申し出を断っていることが明らかになった。一方、武漢市の紅十次会(赤十字社)は、新型肺炎の主要治療病院ではなく、特定の民間病院に優先的にマスクなどを支給し、批判が上がっている。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)29日付によると、フィンランドに在住する中国人の民主化活動家、李方氏が10数カ国の赤十字社に電子メールを送り、中国にマスクや防護服などの支援を行うよう要請した。しかし、各国の赤十字社は、「中国の赤十字社からの援助要請はなく、物資を輸送することができない」と返答した。

武漢市の新型肺炎防疫指揮部もこのほど、海外からの寄付を暫く受けないと発表した。中国当局の対応について、李方氏は「海外から物資を受け入れれば、より多くの人命を救えるのに」と批判した。

中国赤十字基金の元医療救助部長の任瑞紅氏はRFAの取材に対して、「中国の赤十字は半政府機関であるため、海外の援助を受け入れるのは簡単ではない」とした。任氏によると、中国当局が海外からの支援物資を受け入れる際、6~8%の管理費用を徴収するルールがあり、多くの政府部門の承認を得なければならない。「中国の官僚体制では、政府の危機管理能力が非常に弱い」とした。

中国では現在、新型肺炎の発生源である武漢市だけではなく、中国国内の他の地域の病院や薬局でも医療備品の不足が深刻化している。

1月27日、湖北省に隣接する江西省の新余市人民医院はSNS上で、防護服、N95防護マスク、医療用ゴーグル、手術衣、検査キット、消毒液、赤外線体温測定器などの寄付を呼び掛けた。呼び掛け文とともに、レインコートを着た4人の医師の姿がある。防護服がなくなったため、同病院の医師らは防護服の代わりにレインコートを着て、医療活動を行っているという。

新余市人民医院がネット上で物資の支援を呼び掛けた(新余市人民医院より)

1月30日、四川省人民医院は、中国版ツイッター・微博に投稿し、「院内にある防護服は6着しか残っていない」とし、寄付を呼び掛けた。

雲南省第一人民医院、第三人民医院、広東省深セン市や甘粛省の病院などもネット上で寄付を呼び掛けた。

一方、微博のユーザーは30日、湖北省の赤十字社が、武漢市の新型肺炎の主要治療病院である協和医院に3000枚のマスクを支給したのに対して、地元の莆田系列の民間病院、仁愛医院には1万6000枚のN95防護マスクを割り当てたと投稿した。

湖北省赤十字社のホームページでは30日、物資の分配状況を公開した。これは、ネットユーザーが書き込んだ情報と一致している。

莆田系列病院とは、福建省莆田市出身者らが経営する民間病院を指す。全国に8000施設あり、民間病院市場の80%を牛耳ているとされる。

微博では、協和病院の医療備品が非常に不足していると訴える投稿が度々、転載されている。

微博では、武漢市協和病院が医療備品の寄付を呼び掛ける投稿が転載されている(微博より)

(翻訳編集・張哲)