無断外出した武漢市民、警備員に殴られ死亡 遺族「死因が新型肺炎にされた」

2020/03/06
更新: 2020/03/06

外出禁止令が敷かれている武漢では、自宅を抜け出した男性が団地の警備員から暴行を受け、翌日死亡した。男性の兄でオランダに在住する中国民主運動活動家の陳忠和氏が明かした。

陳氏は米政府系メディア、ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に応じ、経緯を語った。同氏によると、1カ月にわたる封鎖措置でストレスが溜まった弟は2月22日深夜12時、友人らと飲みに行き、翌日の午前2時に団地の壁をよじ登って自宅に戻ろうとしたとき、警備員に発見され、暴行を受けた。

弟は帰宅後、家族に「捕まって殴られた」と答えていたが、次の日、意識がなくなった状態で自室で発見された。病院に搬送され、検査を受けた結果、脳に広範囲の出血が見つかった。同時に胸のCT検査も行ったところ、「新型肺炎の疑いがある」と医師は告げた。

病院は「新型肺炎の疑いによる死亡」とする死体検案書を作成したが、暴行による脳出血について触れなかった。遺体はすぐさま火葬された。

陳氏は、弟が中共肺炎(新型肺炎)で死亡したとの内容を否定している。「こちら(オランダ)の医師に胸部画像を見てもらうと、肺には影があるようには見えず、健康的だと聞いた」。弟の救急搬送には、町内会の職員たちが同乗し、家族は乗っていないという。陳氏は、「町内会が医師を丸め込み、『肺炎で死亡した』と偽りの診断書を作成させたのだろう」と推測している。

陳氏の家族は「弟の死を海外で公にしてしまった」と陳氏の行動を批判したという。陳氏は家族が公安当局から脅迫を受けたと推測した。

陳忠和氏は1989年の天安門事件に参加、1998年に中国民主党を立ち上げ、中国の民主化運動に取り組んでいた。1999年に国家転覆罪で7年間の懲役を言い渡された。2011年にオランダへ渡った。

(翻訳編集・佐渡道世)