国連人権理、諮問グループ地域代表に中国選出 人権組織から批判

2020/04/06
更新: 2020/04/06

4月1日、国連人権理事会(UNHRC)は中国代表を諮問グループの地域代表として任命したことを発表した。人権問題が報告されているにもかかわず、この決定には人権専門家らから疑問視する声が上がっている。

日本など47カ国が参加する国連人権理事会は、国連専門家をアフリカ、アジア・太平洋、ラテンアメリカ・カリブ、西欧・その他、東欧からそれぞれ選出された5人の代表からなる人権調査官選定のための諮問グループを作る。国連公式ホームページによると、この5人のグループの役割は、諸国の人権状況、宗教・言論の自由などの問題について調査し、報告する人権調査官の審査および選定に影響力を持つ。

今回、アジア・太平洋地域では、国連中国代表部の蔣端(JIANG Duan)氏が選出された。中国代表は向こう1年間、17人の国連人権調査官を選択するうえで中心的な役割を果たす。

国連の動きを監視するジュネーブ拠点の人権組織UNウォッチは、この決定を厳しく批判した。ヒレル・ノイアー同事務局長は同組織の声明で「抑圧的で非人道的な中国の政権が、言論の自由、恣意的な拘留および強制失踪について世界の審査する。まるで放火魔が町の消防署長に就くようなものだ」と書いた。

ノイアー氏によると、中国代表の蒋端氏は公式にはアジア太平洋地域の代表だが、実際には権威主義の中国共産党の代表であり、政府の利益を追求するだろうと指摘している。

中国共産党は、異見者に対して厳しい弾圧を行っている。人権弁護士や信仰者、少数民族は恣意的に拘束されている。中共ウイルス(新型コロナウイルス、COVID-19)流行時も、情報封鎖が感染拡大につながったと政権の失策を批判した実業家の任志強氏やジャーナリスト、医師、市民を強制的に行方不明にさせた。

「(中国共産党)政権は日常的に厳しい検閲を行い、反対意見を遮断している。どうして、中国が言論と表現の自由の保護に関する国連特別調査官の選択に関われるのか」ノイアー氏は書いている。

米国は2018年、国連人権理事会を脱退した。当時のニッキー・ヘイリー米国国連大使は、理事会を「人権侵害者のかばう者と、政治的偏見の巣窟」と例えていた。

米国務長官マイク・ポンペオ氏も、離脱について「人権理事会は恥知らずな偽善運動になり、世界で最悪の人権侵害の多くが無視され、世界で最も深刻な犯罪者の一部が議会自体に座っている」と当時、見解を述べた。

中国代表が、人権理事会の諮問グループに選出されたことは、今後、チベットやウイグル、香港の民主派、臓器収奪、法輪功迫害問題など、中国人権問題に対する問責の声を抑制し、その立場を擁護する姿勢を理事会内で拡大させる懸念がある。

サイモンビーゼンタール・センター副学部長のラビアブラハム・クーパー氏は、米ワシントンフリービーコンの取材に対して「中国の人権の踏みにじりを無視し続ければ、国連は設立の中心的価値観を損ない続けるだろう」と語った。

人権組織UNウォッチは、国連事務総長アントニオ・グテレス氏と人権担当代表ミシェル・バチェレ氏に対して、選出を再考を呼び掛けている。

47カ国の人権理事会の在り方は、長年問題視されてきた。独裁者ニコラス・マドゥロ政権下で貧困と大規模な人権侵害に悩まされていたベネズエラや、社会主義国のスーダンやリビア、圧制と人権弾圧が報告されているソマリア、エリトリア、キューバ、サウジアラビアもメンバー入りしている。

(翻訳編集・佐渡道世)